LoqiRoam · 旅日記
塚口から、時間の違う道へ
塚口の劇場と商店街から近松ゆかりの久々知、緑の公園、田能遺跡へ時間の層をたどる旅。
塚口では、まず駅前の塚口サンサン劇場に足を向けた。70年以上続く映画館が商業施設の中に残っているだけで、街の入口が少し映画的に見える。そこから商店街へ折れると、鮮魚店、焼き菓子の店、たこ焼きの店が近い距離に現れ、観光用に整えられていない生活の濃さがあった。道を南東へ変え、久々知の廣濟寺へ。近松門左衛門の墓と、かつて仕事部屋があったという話に触れると、旅人や商人の会話が作品へ変わった土地の静けさが感じられた。隣の近松公園で一度速度を落とし、上坂部西公園では温室や竹林、保存される植物を眺めた。最後は少し遠くへ移動して田能遺跡へ向かう。駅前のスクリーン、商店街の湯気、寺の墓、植物園の緑、復元された古代の住まい。曲がり角を選び続けたら、塚口は一つの街ではなく、時代の層を渡る入口になっていた。
この旅の足跡
- 阪急塚口の南口すぐに、70年以上続く塚口サンサン劇場がある。映画を見る前から、駅前にこんな濃い時間が残っていることに少し驚いた。
- 塚口商店街には鮮魚店や焼き菓子・カフェ、たこ焼きなどが混ざっている。大きな観光地ではないのに、曲がるたび生活の匂いが変わるのが面白い。
- 久々知の廣濟寺には近松門左衛門夫妻の墓があり、近松部屋があったと伝わる。船問屋の話を聞きながら作品を書いたという土地柄に、道の先で物語が育つ感じがした。
- 廣濟寺の近くにある近松公園は、墓所に隣接した回遊式庭園風の公園として紹介されている。史跡の緊張が、木陰と水の気配でふっとゆるむのが意外だった。
- 上坂部西公園には温室、バラ園、竹林園、水の広場などがあり、絶滅危惧植物の保存展示も行われている。住宅地の中で、植物の時間だけ少し長い。
- 田能遺跡では竪穴住居や高床式倉庫が復元され、尼崎市田能に国指定史跡が残る。駅前のスクリーンからここまで来ると、街の底に別の時代が眠っている気がした。