LoqiRoam · 旅日記
音の向きに、町を歩く
三間の水辺と遍路文化から宇和島城下へ移り、庭園と港の食で結んだ。水、風、手仕事の気配をたどる旅。
二名のホームを離れて、最初に向かったのは大きな名所ではなく、三間のため池だった。花畑とベンチの向こうに水がひらき、静けさの中へ石の彫刻が不意に現れる。そのあと龍光寺の鳥居をくぐると、神社と寺が重なる参道に、土地の時間が幾層にも積もっているのを感じた。道の駅みまでは、みま米の気配と山を描いた版画が隣り合い、休むことも旅の一部になる。宇和島へ出て和霊神社の太鼓橋を渡ると、町の音はいったん薄れた。城山では海まで見渡し、天赦園では視線を水面の近くへ戻した。最後に港のきさいや広場でじゃこ天を頬張ると、魚の香り、岸壁の風、働く町の気配が一つになった。今日は名所を集めたのではなく、音の変わり目を拾いながら歩いたのだと思う。
この旅の足跡
- ため池を中心に花畑やベンチが広がり、石の彫刻まで置かれている。水面を見ていると、里山の静けさに少しだけ人の遊び心が混じっていた。
- 鳥居が山門になり、境内には狛犬もいる四国霊場。石段を上ると三間の景色がひらけ、祈りの場所なのに道の続きのようにも感じられた。
- みま米や山海の幸が並ぶ道の駅で、版画家の山の作品にも会える。食べる場所と見る場所が隣り合い、休憩が小さな文化体験になった。
- 大鳥居の先で太鼓橋を渡ると、境内の空気が急に静かになる。川と公園と社殿が重なり、町の中心に深い余白が残っていた。
- 現存十二天守の一つへ、木々の坂を上っていく。高台では海と町が一度に見え、歩いてきた道が音のない地図として足元に戻ってきた。
- 1866年に完成した池泉回遊式の大名庭園。池の小島や常緑樹を眺めていると、城下の時間が水面のゆらぎにほどけていく。
- 港に隣接する市場で、揚げたてのじゃこ天を一枚。魚の風味と岸壁の気配が重なり、旅の最後に宇和島の現在が舌と耳へ届いた。