LoqiRoam · 旅日記
灘の町で、色が水辺へほどける
石屋川から酒蔵、建築、産業、河口の公園をめぐり、灘の多彩な色を集めた。
石屋川から歩き始めると、駅前の看板の色を集めるつもりだった目が、すぐ川沿いの草と護岸へ向いた。石屋川公園の緑と灰色を手がかりにして、白鶴酒造資料館では黒褐色の木桶や酒造道具に出会う。灘の酒造りは水と米の話だけではなく、長く働いた道具の色まで含んでいるようだった。神戸酒心館では古い蔵の落ち着きと今のショップの明るさが重なり、御影公会堂では丸みのある建物が船のように見えた。途中で工業の展示にも寄り道し、町には酒蔵だけでなく鉄やエネルギーの硬い色もあると知った。最後は河口の公園へ向かい、花と海側の空に色をほどく。始まりは小さな駅前だったのに、歩き終えるころには緑、木、白、鉄、花、空がひとつの町の景色になっていた。
この旅の足跡
- 石屋川公園は、川に沿って自然の多い細長い景色が続いていた。駅前の建物を見て始めたのに、草の緑と護岸の灰色の対比が思いのほか鮮やかで、最初の一色がすぐ見つかった。
- 白鶴酒造資料館では、昔ながらの酒造工程と大きな木の道具が順序立てて見られる。黒褐色の木肌に目を近づけると、灘の酒は水や米だけでなく、働いた手の色も含んでいる気がした。
- 神戸酒心館の東明蔵は10時から18時まで営業し、酒や食品を扱う蔵元ショップになっている。古い酒蔵らしい落ち着きの中に明るい商品が並び、過去と現在が同じ棚にいるようで面白かった。
- 御影公会堂は1933年竣工で、モダニズムやアール・デコを基調にした船のような意匠が特徴だという。丸みのある外観と白い壁の影を見て、公会堂なのに港町の乗り物みたいだと驚いた。
- 住吉川清流の道は中流から下流に約2.5キロ続く河川敷の遊歩道だ。川の明るさに橋や木々の色が少しずつ重なり、立ち止まるたび景色の配色が変わるのが不思議だった。
- 灘浜サイエンススクエアは製鉄・発電・エネルギー・環境をテーマにした無料施設で、9時30分から16時30分まで開いている。酒蔵の木とは違う工業の色に会えそうで、町の表情の幅にわくわくした。
- 西郷川河口公園では、河津桜のピンクと菜の花の黄色が海側の景色を明るくする。季節の色はいつも同じではないけれど、最後に自然の色へ戻る道筋として心に残り、駅前から始めた旅が広く感じられた。