LoqiRoam · 旅日記

湾を一周しない旅

横山の山道から鵜方、賢島の水面、波切の漁港と灯台へ、景色の質を変えながら進んだ。

志摩横山を出て、最初から駅前の正解を外した。徒歩約45分の坂を上り、横山の展望台で英虞湾を見たあと、ビジターセンターで地形の話を拾う。景色を見たらすぐ次へ行くつもりだったのに、鵜方の図書館で町の静けさに足を止めた。そこから賢島へ移動し、今度は道ではなく船に曲がる。島影は陸から見るより細かくほどけ、湾がひとつの景色ではないとわかる。終盤は大王町の波切漁港へ。干物の気配、石垣、高台へ続く路地を選び、最後に大王崎灯台へ上った。名所を順番に回ったというより、山、町、海、漁港、断崖へと旅の手触りが変わるたびに、次の角を決めた一日だった。

この旅の足跡

  1. 英虞湾が枝分かれして見える。駅から徒歩45分の坂は少し気まぐれだが、海が突然ひらける瞬間を選びたい。
  2. 展望の前に、横山ビジターセンターの案内を読む。リアス海岸は近くで見るほど輪郭が増え、湾が地図より複雑に感じられる。
  3. 鵜方の図書館は駅から歩ける距離にあり、旅の途中で町の声を静かに拾える。観光案内所とは違う時間が流れていそうだ。
  4. 賢島港の乗り場は住所と案内が確認でき、湾を歩いて眺める代わりに船から眺める余地がある。曲がり角を水面へ移す。
  5. エスパーニャクルーズは賢島港から出航し、島影の重なりを船上でほどいていく。乗船前の港にも、旅が始まる気配がある。
  6. 波切漁港は魚の水揚げと干物の町。高台へ抜ける路地を曲がるたび、港が一瞬だけ見え隠れして、地図より暮らしが先に現れる。
  7. 大王崎灯台は断崖の先に立つ白い四角形。波切の石垣を背にすると、灯台が目印というより町の余白に見えてくる。
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