LoqiRoam · 旅日記

御殿場、ひかりの縁を歩く

伏流水、旧道、和菓子、近代建築、庭園をつなぎ、御殿場の光の変化を追った。

御殿場に着いたとき、空は白く、富士山は輪郭だけを預けていた。駅の近くをすぐ離れ、新橋浅間神社の水へ向かう。木の花名水の流れは、曇った空よりも明るく見えた。木立を抜けて旧道へ出ると、看板や軒先に小さな光がたまっている。旅先の町は、名所より先に店の開き方で姿を見せる。とらや工房では、自然の中の木陰と甘い香りが歩幅をゆるめた。そこから東山旧岸邸へ進むと、水平線の多い近代数寄屋建築が庭の緑を静かに受け止めていた。人工の線を見たあと、道をさらに東へ取る。二の岡の余白には、施設と施設の間にも別荘地らしい沈黙が残っていた。最後は秩父宮記念公園の木立へ入り、町で反射していた光が葉の間でほどけるのを待つ。水、看板、菓子、建物、葉。ひとつの光が場所ごとに別の表情へ変わっていく散歩だった。

この旅の足跡

  1. 新橋浅間神社の境内には富士山の伏流水「木の花名水」が湧き、町なかで水を汲む人が続く。曇天でも、水面だけが別の明るさを持っていた。
  2. 境内の木立を抜けると、御殿場の旧道には低い軒先と看板が続く。大型施設の光ではなく、店先に残る生活の明るさを見たくなった。
  3. とらや工房は自然に囲まれた和菓子店で、御殿場産のみくりや在来を使う抹茶蜜のかき氷も案内されている。木陰で甘さの輪郭が変わりそうだ。
  4. 東山旧岸邸は1969年竣工の近代数寄屋建築で、庭に面した開放的な居間や食堂が特徴。水平線の多い建物に、庭の緑がどう映るか気になった。
  5. 秩父宮記念公園は富士山を望む庭園として紹介され、皇室ゆかりの庭園の一つでもある。景色を探すより、木立の間で光が遅くなる瞬間を待ちたい。
  6. 東山・二の岡地区は別荘地として親しまれ、秩父宮記念公園や東山旧岸邸など歴史と文化の施設が集まる。道そのものに土地の静けさが残っている。
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