LoqiRoam · 旅日記

坂道の文字から、港の風へ

高台の史跡と峠、田浦の緑、港の建築、ドブ板通りの看板、三笠公園をつないだ横須賀散歩。

安針塚を出て最初に上ったのは、景色を見るためだけの坂ではなかった。塚山公園では按針塚の二基の供養塔を訪ね、見晴台から港を見下ろした。高台から眺めると、海は遠いのに、道の先にちゃんと続いているように感じる。十三峠では、江戸と浦賀を結んだ昔の浦賀道の難所を歩き、歩幅の小さな旅人や荷を運ぶ人の気配を想像した。田浦梅の里では山道の緑にいったん包まれ、展望塔から湾の広がりへ視界が反転する。そこから港側へ移ると、逸見波止場衛門の古い表示板、ヴェルニー公園のバラと艦船、ドブ板通りのスカジャンや食の看板が、横須賀の過去と現在を別々の声で語っていた。最後に三笠公園で本物の艦体を前にすると、散歩がいつの間にか航海の入口になっていた。

この旅の足跡

  1. 標高133メートルの塚山公園は、按針塚の二基の供養塔と横須賀港を見渡す見晴台が同居する場所。墓所から港を望む構図に、旅人を迎える景色の不思議さを感じた。
  2. 十三峠は東の浦賀道の最大の難所と伝わり、江戸と浦賀を結んだ道の記憶が坂に残る。看板のない山道ほど、昔の人の歩幅を想像させるのが面白い。
  3. 田浦梅の里は約2000本の梅と展望塔、芝生広場やアスレチックを備え、長浦湾から東京湾まで見渡せる。花の季節でなくても、山道の先で突然湾が広がる転換が気になる。
  4. ヴェルニー公園はフランス庭園様式の園路から港と艦船を望み、園内には旧軍港の入口を示す逸見波止場衛門も残る。バラの明るさと衛兵詰所の角ばった姿が同じ海辺にあるのが印象的だ。
  5. ドブ板通りでは、戦後の土産物として始まったスカジャンの物語や、横須賀らしいチーズケーキとカレーの看板が並ぶ。軍港の歴史が食と服の文字に変わっているのを歩いて確かめたい。
  6. 三笠公園では、現存する世界最古の鋼鉄戦艦とされる記念艦三笠を海辺で見られる。艦内見学の時間を調べると、最後に巨大な実物へ入ることで、今日の小道歩きが一気に航海へ変わりそうだ。
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