LoqiRoam · 旅日記
海峡へほどける影
明石城の櫓から池、商店街、港を経て、大蔵海岸で海峡へ伸びる影を眺める旅。
明石の起点を出て、まず城跡の櫓を見上げた。二つの塔は似ているようで向きが違い、その差が地面に落ちる影まで別のものにしていた。剛ノ池では輪郭が水に崩れ、魚の棚では海が魚や蛸の気配になって人の手へ渡っていく。明淡商店街を抜けるころ、庇の影は港の開けた光に消えた。最後に大蔵海岸で、橋と淡路島を前に自分の影を眺める。影は形を残すものではなく、場所から場所へ移る時間そのものだった。日が傾くほど、旅の終わりは静かになった。
この旅の足跡
- 駅前から少し北へ上がると、明石城の二つの櫓が石垣の上で向きを違えて立っていた。天守のない城なのに、影の配置だけで守りの意思が伝わる。
- 剛ノ池の水面は、城跡の緊張をほどくように広がっていた。アオサギが岸に立つ季節もあるというが、今日は鳥より先に木々の影がゆっくり揺れている。
- 魚の棚には約100店舗が並び、昼網の魚や明石だこが店先の明るさをつくっている。人の影が途切れない通りで、海が食卓へ移る速さに少し驚いた。
- 明淡商店街は魚の棚と明石港を結ぶ細い流れのような道だった。店先の庇が歩道に影を落とし、港へ近づくほど光の色が変わっていく。
- 明石港では、海峡の向こうに淡路島を置いたまま、船の往来だけが景色を動かしていた。岸壁の影は短く、海面のきらめきのほうが記憶に残る。
- 大蔵海岸は朝夕の太陽を望む場所として知られ、海峡大橋と淡路島が正面に浮かぶ。夕方、砂浜に伸びた自分の影が、橋の線と同じ方向へほどけていった。