LoqiRoam · 旅日記
水路の線、商店街の匂い、選ばなかった角
仙台堀川公園、富賀岡八幡宮、砂町銀座、小名木川、クローバー橋、横十間川親水公園をつなぎ、水辺と下町の気配で進路を選び続けた旅。
南砂町を出たとき、行き先を決めすぎると今日の旅がつまらなくなる気がした。仙台堀川公園では、桜や緑の名所として眺めるより、釣堀や彫像が水辺に突然現れる混ざり方を楽しんだ。富賀岡八幡宮へ折れると、境内の富士塚に砂町の地形の記憶が残っていて、街の時間が一本深くなる。砂町銀座では一転、約670メートルの通りを店先の匂いと声に押されて歩いた。一本道なのに、惣菜や焼き鳥の気配がそれぞれ別の角をつくっている。そこから小名木川へ出ると、生活の細い道が江戸以来の運河の直線にほどけた。クローバー橋の中央では方向を選ぶこと自体が景色になり、最後は横十間川親水公園の水面へ。旅を終えたというより、最初に選ばなかった角の先へ、まだ別の一日が続いているようだった。
この旅の足跡
- 仙台堀川公園には釣堀や親水施設、陶壁、彫像が点在する。桜の名所というより、緑の下で文化と水が急に混ざる感じに足が止まった。
- 富賀岡八幡宮は寛永4年創建とされ、境内の富士塚は砂町の富士塚として江東区の有形民俗文化財になっている。小さな境内に地形の記憶が隠れていた。
- 砂町銀座商店街は約670mに約180店舗が並び、おでんや焼き鳥などの店が続く。一本道なのに、店先ごとに匂いと会話が別方向へ曲がっていく。
- 小名木川は江戸時代から使われた運河で、沿道には塩の道として歩ける遊歩道がある。まっすぐな水路なのに、橋を渡るたび景色の向きが少しずつ変わった。
- 小名木川クローバー橋は小名木川と横十間川の合流点に架かる十字形の橋で、中央から東京スカイツリーを望める。橋なのに、立つ場所を迷わせる形が面白い。
- 横十間川親水公園は延長1.9kmで、貸しボート場、水上アスレチック、野鳥の島、花菖蒲園や田んぼまで備える。終わりなのに水辺の余白がまだ続いていた。