LoqiRoam · 旅日記
水の記憶から、煙の路地へ
公園の水景と十二社の歴史を起点に、都庁の展望、二つの横丁、御苑の静けさへ移った。
新線新宿の座標から歩き始めたが、駅名に旅を縛られないよう、最初の曲がり角で西へ逸れた。高層ビルの足元に滝のある新宿中央公園では、昔の浄水場の記憶が水音に重なった。熊野神社で十二社の碑を見つけると、消えた池や景勝地が石の上から急に近づいてきた。そこから都庁の高みへ上がり、街を一枚の地図に戻してみる。降りたあとは思い出横丁の煙に誘われ、さらにゴールデン街の小さな扉へ。似た路地なのに、片方は食欲、片方は会話が道を曲げている。最後は新宿御苑へ逃げ込んだ。庭園の余白に立つと、今日見た新宿は巨大な街というより、水の記憶と人の気配が何度も折れ曲がるひとつの路地だった。
この旅の足跡
- 高層ビルの足元なのに、新宿中央公園には白糸の滝とナイアガラの滝がある。浄水場跡の街で、水の音が本当に残っているのが少し不思議だ。
- 熊野神社の境内には、幕末の景勝地・十二社を伝える碑が残る。池も花街も消えたのに、石の文字だけが昔の水辺をこちらへ呼び戻してくる。
- 都庁展望室は地上202メートル、南展望室には思い出ピアノもある。さっきまで路地の幅を気にしていたのに、ここでは街全体が一枚の地図に見えてくる。
- 思い出横丁は新宿西口から徒歩三分ほど、焼き鳥や刺身を出す店が細い通路に肩を寄せる。高い空を見た直後だから、煙の低さが妙に落ち着く。
- ゴールデン街は昭和の雰囲気を残す飲食店街で、細い路地に小さな店が連なる。横丁と似ているのに、こちらは夜の会話そのものが建物になったようだ。
- 新宿御苑は8月1日から9月30日まで原則9時から18時まで開園し、日本庭園を望む茶室もある。繁華街の音を抜けると、最後の曲がり角だけ時間が遅くなる。