LoqiRoam · 旅日記
塩山の名前と屋根と冷たい一杯
甘草屋敷、寺、塩ノ山、庭、果物の味、高台の眺めをつなぎ、塩山の暮らしと歴史を軽やかに辿った。
塩山駅を出てすぐ、甘草を幕府に納めていた屋敷の屋根に出会った。旅は名所を急いで集めるものだと思っていたのに、最初の発見は建物の形と薬草の記憶だった。そこから向嶽寺の門前へ歩くと、寺は見せるためだけの場所ではなく、今も修行の時間を抱えているとわかる。塩ノ山へ少し上がれば、塩が採れるわけではない山が地名を生んだという、かわいらしい謎にも出会えた。恵林寺では石畳と庭の水に歩みを預け、最後は果物のスムージーで暑さをほどく。高台の公園から町を振り返ると、屋根、門、山、味の四つが一枚の風景に収まり、三つの発見を集めるつもりが、思ったよりたくさん拾えていた。
この旅の足跡
- 駅北口からすぐ、江戸時代に甘草を幕府へ納めた高野家の屋敷が現れた。古い民家なのに薬草の歴史へつながる入口なのが意外で、屋根の形にも目が止まる。
- 向嶽寺は塩ノ山を山号にする大本山で、拝観施設というより今も修行の場だと知った。見せてもらう場所ではなく、門前から想像する寺なのが面白い。
- 塩ノ山は標高552.8メートル、駅から登山口まで徒歩約15分。塩が採れる山ではないのに地名の由来になったと知り、短い坂道が急に物語っぽくなった。
- 恵林寺では、1330年創建の寺に国指定名勝の池泉回遊式庭園が残る。長い石畳の先に庭がある構成で、歩くこと自体が鑑賞の助走になる。
- 赤尾の地産カフェでは、地域で育てた果物や野菜をジュース、スムージー、ジェラートにしている。山梨らしさを大きな食事でなく、冷たい一杯で受け取れるのが軽快だった。
- 塩山ふれあいの森総合公園は約16ヘクタールで、自然散策路、ひょうたん池、展望台がある。果物形の遊具まであり、最後に町を眺めながら童心が戻るのが楽しい。