LoqiRoam · 旅日記
耳の高さで見つけた、梶が谷の遠回り
梶が谷の坂と公園から寺、大山街道、二つの音楽空間へ。街の音量が変わるたび、歩く速度も変えていく旅。
梶が谷を出ると、駅の案内音と車の流れがまだ耳の周りを丸く囲んでいた。坂を上って梶ケ谷第1公園へ入ると、斜面に植えられた桜の多さが、花のない季節にも空間の広がりとして伝わってくる。そこから身代り不動尊へ向かう道では、住宅地の静けさと、見えない電車の走行音が交互に現れた。歩くこと自体が、音の距離を測る小さな道具になっていた。大山街道に出ると、車や人の気配が戻り、そのすぐそばにクラシック向けの糀ホールがあることに驚く。さらにフィオーレの森のneoneraへ進むと、木々の間に音楽を待つための空気が生まれた。最後に高津区の花コンサートのことを知り、音楽は劇場だけでなく、地域の日常にも置かれているのだと思った。今日は一曲を聴きに行ったというより、街が静けさとざわめきを何度も編み直す、その過程を歩いた。
この旅の足跡
- 斜面の奥に約280本の桜が植えられた梶ケ谷第1公園。今日は花の季節ではないけれど、坂を上る足音が広場でふっと軽くなり、木々の多さを先に耳で感じた。
- 身代り不動尊大明王院では、大日大聖身代り不動明王を本尊として祀っている。境内に入ると車の音が遠のき、祈りの場所には独特の静かな密度があるのだと気づいた。
- 梶が谷の坂道を下る途中、住宅の間から電車の走行音が一度だけ抜けていった。見えない線路の音が、歩いている方向を少しだけ意識させる。
- 糀ホールは大山街道沿いにあるクラシック向けの小ホール。通りの車音のすぐそばに、楽器が響くための小さな箱が置かれている。その近さが少し不思議だった。
- フィオーレの森の中にあるneoneraは、心地よいサウンドを優先して設計されたmusic hall。木々の気配を抜けて着くと、街中なのに耳のための部屋へ入る感じがした。
- 高津区では区役所ロビーなどで、親しみやすい演奏を届ける『花コンサート』を続けている。音楽が特別な夜だけでなく、行政の建物にも置かれていることが印象に残った。