LoqiRoam · 旅日記
影の行方を追って
町の記憶から山城、水、温浴を経てダム湖の眺望へ。近い影を追う旅が、最後に遠い光へほどけた。
群馬原町を出ると、最初に見えたのは町の東端に残る大ケヤキだった。かつて町割りの基準になった木は、枝を整えられてなお、道の向きを記憶しているように立っていた。 川戸のカフェで音楽の気配に身を預け、そこから岩櫃山へ向かう。山城跡では、歴史は石垣よりも斜面の傾きに残るのだと思った。硬い山のあとに箱島湧水へ回ると、水音と大杉が景色の速度を変えてくれた。 最後は道の駅で食と湯を挟み、やんば見放台へ。近くの影を追っていたはずが、終わりにはダム湖と橋の線が、視線を遠くへ連れていった。影は消えたのではなく、広い景色の中へ薄まっていった。
この旅の足跡
- 原町の東端に立つ大ケヤキは、町割りの基準になった樹齢千年級の木。伐枝された姿に、時間の影が濃く残っていた。
- 川戸の小さなカフェは、ギターやピアノを自由に演奏できる音楽の場でもある。歩き始めに、影だけでなく音の余白も欲しくなった。
- 岩櫃山の中腹に築かれた岩櫃城は、標高593m付近の主郭を中心に広がる大規模な山城跡。奇岩の影が、城の輪郭を今も隠している。
- 日本名水百選の箱島湧水は、箱島不動堂のそばで湧き、大杉が水音を見守る場所。山城の硬さのあとでは、水の明るさが意外に深い。
- 道の駅あがつま峡は吾妻峡の玄関口で、直売所は9時から17時、天狗の湯は10時から21時。足湯や農産物が、旅の身体をほどいてくれる。
- やんば見放台は9時から17時。八ッ場ダムの堤体と八ッ場あがつま湖、橋の線が一望でき、近景の影を遠景の青へ送り出せる。