LoqiRoam · 旅日記
森から川へ、明るさの輪郭
森、博物館、旧邸、川辺、壁画を経て、矢切の渡しで空へひらく散歩。
北松戸を出ると、駅の周囲にとどまらず、まず21世紀の森と広場へ向かった。朝の森は光を細かく分け、芝生の明るさと木陰の深さを同じ視界に置いていた。隣の博物館では、その足元が旧石器時代から続く土地の時間として見え直した。そこから戸定邸へ移ると、森の広がりは庭の縁に静かに縮まり、室内から見る庭の明るさが印象に残った。坂川沿いの松戸神社では水面の反射を拾い、根本壁画通りでは斜めの光が街の色を起こした。最後に矢切の渡しへ向かうと、建物の間で変化してきた光が、川と空の大きな面にほどけた。歩くことは場所を集めることではなく、明るさの変わり目をつなぐことだった。
この旅の足跡
- 広い芝生の先に森が残る21世紀の森と広場。8月下旬は朝7時から開くので、暑さの前の光が木立に薄く差す時間を歩いてみたい。
- 旧石器時代から現代までを常設展示する松戸市立博物館。森を歩いたあとに入ると、足元の土が急に長い時間へ変わる感じがして不思議だ。
- 1884年に建てられた戸定邸は、徳川昭武の旧別邸で庭園も国の名勝。畳の縁から庭を見ると、明るさが室内へゆっくり沈んでくる。
- 松戸神社は1626年創建とされ、坂川沿いにある。川面の反射と境内の木陰が近く、古い由緒より先に、温度の違う風が印象に残った。
- 根本壁画通りには、松戸のアート事業をきっかけに集まった若い作家たちの壁画が残る。夕方の斜光で、通りの色が建物より先に浮いた。
- 矢切の渡しは江戸時代初期から続く農民渡船で、江戸川を横切る。運航情報を確かめて訪ねると、岸のこちら側だけでも空の広さが旅を終わらせてくれる。