LoqiRoam · 旅日記

木の駅から、鉄の給水塔まで

木造駅舎を起点に、美杉材、地域史、庭園、山道、鉄道遺産をつなぎ、駅前の色を町全体から集めた。

伊勢竹原駅に降りると、古い木造駅舎が山の緑の中で待っていた。窓口の静けさに少し戸惑ったけれど、駅名板の文字や木の壁を見ているうちに、今日はにぎやかさではなく、残っている色を探す日なのだと思えてきた。道の駅美杉では美杉材の工芸品や材木が並び、木の香りが駅舎の印象とつながった。資料館に入ると、北畠氏の歴史だけでなく、地域の民俗や暮らしの知恵も見えてきて、茶色い家や木立の緑が急に立体的になった。北畠神社では、池と石を含む庭園の中に社殿の朱が浮かび、集めたかった色がやっと一枚の景色になった。そこから三多気へ足を伸ばすと、道の長さと山の斜面が主役に変わる。最後は伊勢奥津駅の給水塔へ戻り、鉄の輪郭を見上げた。駅前の色は看板だけではなく、木、石、水、鉄、そしてそこを守る人の時間にも宿っていた。

この旅の足跡

  1. 昭和10年開業の木造駅舎が今も残る伊勢竹原駅。窓口は静かだけれど、古い駅名板の文字と山の緑がよく似合い、ここから何色集められるか楽しみになった。
  2. 道の駅美杉は純木造の建物で、店内には美杉材の工芸品や材木が並ぶ。9時から17時まで開いているので、木の香りを確かめながら休めるのも嬉しい発見だった。
  3. 美杉ふるさと資料館には北畠氏の資料だけでなく、考古資料や民俗資料も並ぶ。無料で9時から17時まで見られ、焼き杉工作の話まで出てきて、木の町の奥行きに驚いた。
  4. 北畠神社の境内では、深い木立の中に室町期の北畠氏館跡庭園がある。枯山水と池泉回遊式が重なり、緑の中の石と社殿の朱が思ったより鮮やかに見えた。
  5. 三多気の桜は約1.5キロの参道に山桜が続き、近くの真福院へ向かう山里の景観として知られる。花の季節でなくても、斜面と古道の緑が道そのものを主役にしていた。
  6. 伊勢奥津駅のそばには、蒸気機関車へ水を送った高さ9.5メートルの給水塔が残る。終着駅の静けさに鉄の輪郭が立ち、山の旅が鉄道の記憶へ戻ってくる感じがした。
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