LoqiRoam · 旅日記

橋のない島から、山の窓辺まで

島の距離から始まり、仁尾の発酵文化、父母ヶ浜の潮だまり、紫雲出山の高所へつないだ静かな三豊の旅。

津島ノ宮の座標に立つと、まず沖の小島が目に入る。津嶋神社へ渡る橋は夏季大祭の二日だけかかると知り、旅の出発にはちょうどよい距離が残った。海辺を離れて道の駅でひと息つくと、温泉や物産館、公園が並び、観光地の外側にある生活の時間が見えた。仁尾では1741年創業の米酢蔵を手がかりに、杉樽発酵の長さと古い町の静けさを重ねた。その先では、仁尾酢を使うピクルスとクラフトビールに出会い、土地の手仕事が現在の味へ続いていることに気づく。夕方は父母ヶ浜へ移り、干潮の潮だまりに空が映る条件を待つ。最後は紫雲出山へ上がり、弥生時代の高地性集落と瀬戸内の航路を同じ窓から眺めた。静けさは一つの無音ではなく、渡れない島、仕込みの時間、引き潮、遠い山の順に姿を変えていた。

この旅の足跡

  1. 沖の小島に本殿があり、渡り橋は夏季大祭の二日だけ現れる。駅も普段は眠っていると知り、海の向こうの気配を長く眺めた。
  2. 海辺のすぐ近くで、温泉、物産館、公園がひとまとまりになっている。観光の途中というより、地元の一日が折り重なる休憩所に見えた。
  3. 1741年創業の米酢蔵では、杉樽と長い発酵の時間が今も続いている。酸味を想像しながら、町の静けさが味にも残るのか気になった。
  4. 仁尾酢を使ったピクルスと店主のクラフトビールを出す醸造所が、古い町の中で営業している。発酵が別の形で続いているのがおもしろい。
  5. 約1kmの遠浅の浜に、干潮の潮だまりが空を映す。人気の景観なのに、風が止まる一瞬だけは人の声まで遠くなるように感じられそうだ。
  6. 標高352mの山頂近くに、約2000年前の高地性集落を伝える遺跡館がある。窓から海を見下ろすと、昔の人も同じ航路を見張ったのかと想像した。
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