LoqiRoam · 旅日記
音の細道を、ひとつずつ
焙煎店から公園、哲学堂、寺を経て、電子音楽のレコード棚へ。街の音の変化を追った散歩。
沼袋では、駅前の気配に急いで名前をつけず、まず小さな焙煎店で立ち止まった。豆を選ぶ店の手つきから、平和の森公園へ出ると、街の音は急に遠くなり、広い空の下でボールの弾む音だけが軽く返ってきた。妙正寺川を越えて哲学堂公園に入ると、四聖堂やいくつもの小径が、静けささえ誰かの構想だったことを教えてくれる。そのあと新井薬師の境内で、長い時間を通り抜けてきた祈りの気配に触れた。終着は中野ブロードウェイのSHOP MECANO。電子音楽とニューウェーブの棚を眺めていると、今日の散歩は風景を集めるものではなく、音が次の音を呼ぶ順路だったのだと思えた。
この旅の足跡
- 駅から二分の小さな焙煎店。8席のカフェと豆の販売があり、品質を確かめながら家庭の一杯へつなげる店らしい。商店街の音まで少し澄んで聞こえた。
- かつての中野刑務所跡地に開かれた約7万平方メートルの公園。妙正寺川沿いの記念樹と広い運動空間があり、ボールの音が空に抜けていく。
- 明治37年に精神修養の場として始まり、四聖堂には釈迦・孔子・ソクラテス・カントが祀られる。名前のついた七十七場を歩くと、静けさにも設計があると気づく。
- 1586年創建の梅照院。薬師如来と如意輪観音の二仏一体の本尊を祀り、毎月八のつく日には縁日と護摩法要がある。境内では足音まで古く感じた。
- 中野ブロードウェイ3階のSHOP MECANOは、電子音楽・ニューウェーブやインディーズ作品を約1万枚扱うレコード店。解説カードを読みながら、知らない音の入口を探せる。