LoqiRoam · 旅日記

大月で、道を一度ずつ選び直す

上大月から岩殿山、浅利、猿橋へ。路地、眺望、古民家、渓谷、歴史、味を曲がり角でつないだ。

上大月を出たときは、駅の近くを軽く歩いて終えるつもりだった。けれど斜面へ逃げる細い道が見えたので、予定を一つ横へ置いた。岩殿山丸山公園では、街並みの向こうに富士山を望みながら、山頂への道は状況を確かめてからにする慎重さも覚えた。駅前の案内所で次の手がかりを拾い、営業日が限られる浅利の古民家カフェへ寄り道する。そこから猿橋へ移ると、桂川の深い谷と橋の独特な構造が、町の景色を一気に別のものへ変えた。郷土資料館で暮らしの道具を見て、最後は厚焼木の実煎餅を選ぶ。名所を順番に消化したというより、角を曲がるたびに旅の重心を少しずつ移した一日だった。

この旅の足跡

  1. 駅の気配はすぐ消え、斜面の生活道と用水の音が前に出た。大月駅と上大月駅は歩いて行き来できる距離らしいが、私は近道より先に細い角を選んだ。
  2. 岩殿山丸山公園は中腹まで整備された階段で上がれ、街並みの向こうに富士山を望める。山頂方面はルート情報を確認してからにしたくなる、少し緊張する景色だった。
  3. 大月駅前の観光案内所は9時から17時まで開き、交通情報やパンフレットだけでなく地元の工芸品も扱う。旅の次の角を、紙の地図に任せてみた。
  4. 浅利のCafe Genyaは築120年の古民家を使い、営業は原則日曜の10時から16時。毎日開く店ではないからこそ、たどり着けたら旅の偶然が一つ増える。
  5. 猿橋は桂川の深い渓谷に架かる日本三奇橋の一つで、橋脚を使わず両岸から張り出す構造が珍しい。水面を見下ろすと、橋というより崖同士の会話に見えた。
  6. 猿橋の隣には大月市郷土資料館があり、農具や機織り機具などから地域の歴史と自然を学べる。橋を見たあとに入ると、景色の裏側に暮らしが見えてくる。
  7. 猿橋近くの栄月製菓は、山椒の実などを混ぜて三枚重ねで焼く厚焼木の実煎餅を扱う。硬い菓子を一枚選ぶと、今日の道の余韻まで歯ごたえを持った。
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