LoqiRoam · 旅日記

川を渡らず、時間を渡った

駅前の暮らしから神社、ダム、遊園地、古民家茶房を経て、たたらと刀剣の歴史へ進んだ。

出発点では、駅前の小さな売店にまず足を止めた。野菜や加工品を眺めていると、観光地へ向かう前に、ここで暮らす人の一日へ紛れ込めた気がした。そこから気まぐれに坂を上がり、愛宕神社で三成の屋根を見下ろす。道は上るほど細くなり、町が地図ではなく、曲がり角の連なりとして見えてきた。次に選んだ三成ダムでは、斐伊川の水を受ける大きなアーチに圧倒された。ところが、その硬い印象はみなり遊園地で少し崩れる。巨石を思わせる球体と滑り台が、鬼の舌震の荒々しさを遊びに変えていたからだ。茶房十五代では、たたらで栄えた家の時間を茶と一緒にゆっくり飲み込み、最後は横田の刀剣館へ。地下の構造と玉鋼の説明を見て、今日の寄り道が全部、山と川と鉄のつながりだったと気づいた。まっすぐ行かなかったからこそ、土地の輪郭が少し立体になった。

この旅の足跡

  1. 駅前の仁多特産市は、農産物や加工品を手に取れる小さな入口。旅の始まりなのに、もう土の匂いがする気がして少し得をした。
  2. 愛宕神社は標高253mほどの山上から三成の町を見下ろす。火防の神を訪ねたのに、先に見えたのは屋根の並びと細い道だった。
  3. 三成ダムは高さ42mの本格的なアーチダムで、斐伊川上流の水を受け止める。静かな壁なのに、山の力を隠しているようで少し怖い。
  4. みなり遊園地のローラー滑り台は鬼の舌震をイメージした造形。巨石のような球体を見ていると、子ども向けなのに地形の記憶が混ざっている。
  5. 茶房十五代は、たたら製鉄で栄えた絲原家の邸宅の一角にある。10時から16時の茶の時間が、山の歴史を急がず眺める余白になった。
  6. 奥出雲たたらと刀剣館では、地下施設の断面模型や玉鋼、日本刀の展示を見られる。最後にここへ来ると、川も山も鉄を運ぶ長い物語に見えてくる。
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