LoqiRoam · 旅日記

湯けむりの手前で、七回曲がる

北久米からカフェ、石手寺、湯築城跡、道後温泉、伊佐爾波神社を経て、萬翠荘まで街の表情を曲がりながらつないだ。

北久米を出て、最初から大きな目的地には向かわなかった。福音寺町のカフェへ寄り、駅の近さを少しだけ裏切る。そこから石手寺へ進むと、参道の空気が店の明るさを静かに押し返した。道後公園では湯築城跡の起伏と遠い島影を眺め、歩く速度をいったんほどく。温泉街へ下りると、本館は修理を終えたばかりなのに、昔の顔で今も湯を受けている。商店街を気まぐれに抜け、135段の石段を登って伊佐爾波神社の朱色に出会う。最後は路面電車で中心部へ移り、萬翠荘の白い洋館で旅を終えた。道後の旅だったはずなのに、最後の角で別の町へ出た感じがする。

この旅の足跡

  1. 北久米駅の近くなのに、駅前の軽食ではなく福音寺町の小さな店へ曲がる。駐車場の案内まであるのに、歩いて着くと距離感が少し可笑しい。
  2. 石手寺は四国霊場第五十一番札所で、本堂は江戸後期の建物とされる。参道の先へ進むほど、観光地の明るさより寺の奥行きが勝ってきた。
  3. 道後公園は湯築城跡を含む約8.5ヘクタールの県立公園。展望台から松山平野や瀬戸内の島まで見えるらしく、木陰の散歩が急に遠景へほどけた。
  4. 道後温泉本館は保存修理を終え、神の湯階下は6時から23時まで営業。古い建物なのに今夜も湯を受け入れる、その現役感が少し頼もしい。
  5. 道後温泉本館の周辺は、古い浴場と屋根のある商店街が近接する。湯上がりを想像して歩くと、曲がり角ごとに土産物の色が増えていく。
  6. 伊佐爾波神社は135段の石段の上にあり、全体が重要文化財の八幡造。登り切ると朱色が急に現れ、さっきまでの湯の町が別の顔になる。
  7. 萬翠荘は松山城の南麓にある国指定重要文化財で、9時から18時まで開館。道後の朱色を見たあとにフランス風の白い洋館へ来ると、旅の終わりが少し意地悪だ。
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