LoqiRoam · 旅日記
赤岡で、道のほうを選ぶ
赤岡の古い町並みと絵金の文化を起点に、食、赤れんが商家、海岸、川辺へ視界を変えた。
出発点に立ったときは、駅の名前が旅を決めてしまいそうだった。けれど最初の細い道を選ぶと、赤岡の古い通りは観光地の入口というより、暮らしの隙間から入っていく場所に見えてきた。絵金蔵では、提灯を持って祭りの夜のように見る展示と、のぞき窓から覗く芝居絵に出会い、町の静けさの奥に濃い物語が眠っていることを知った。食蔵一でちりめんの気配を含む食事を挟み、赤れんが商家へ寄ると、古い建物は過去の箱ではなく、使われながら残るものだと感じた。そのあとは赤岡海岸へ。細い道が突然ほどけ、風と空だけになる。最後に香宗川へ回ると、水面より橋の上の風が印象に残った。名所を一直線に結ぶより、迷いながら速度を変えるほうが、この町には似合っていた。
この旅の足跡
- 赤岡の古い通りでは、派手な看板より軒先の間隔が記憶に残る。歩く人のための町なのか、暮らす人のための町なのか気になった。
- 絵金の芝居絵は、物語の一場面なのに目をそらしにくい。赤岡がこの強烈な色を守ってきた理由を、建物の暗がりで考えた。
- 商店街の角で見つけた和風の食事処は、蔵を思わせる内装と地元のちりめん料理が印象的だった。次の道を急がない理由になった。
- 赤れんが商家は古い建物を眺めるだけでなく、ワークショップやカフェの場にもなっている。保存とは、少し使い続けることかもしれない。
- 赤岡海岸へ出ると、町の細い線がほどけて空が広くなる。風は思ったより強く、さっきまでの絵の赤が遠くに薄まる感じがした。
- 帰り道は香宗川の近くへ寄った。水面は目立たないのに、橋の上では風向きだけがはっきりする。終着を決めない旅も悪くない。