LoqiRoam · 旅日記
影の輪郭をたどる北秋田
伊勢堂岱の石、綴子の大太鼓、鷹巣の休息、森吉の庭と湖をつなぎ、影の質感が変わる順路をたどった。
前山を出ると、旅はすぐに駅名からこぼれ、道端の草と屋根がつくる影を拾う時間になった。伊勢堂岱では、台地に残る環状列石の静けさを見つめた。そこから大太鼓の館へ移ると、今度は音を出さずとも空間を震わせる大きさに出会う。鷹巣のカフェで昼の熱をほどき、森吉 森のテラスでは、ため池と田畑と森を縫う小道を歩いた。阿仁前田温泉駅で列車を待つあいだ、線路の先に山の影が重なり、最後は森吉山ダムの湖面へ向かった。8月19日は暑さと雲が残る予報だったが、雨に閉じられた場所を避け、確認できた道路条件の範囲で水辺へ進んだ。名所を集めたというより、石の影、太鼓の影、木立の影、水面にほどける影を順番に見送った一日だった。
この旅の足跡
- 伊勢堂岱では、四つの環状列石が台地の上に残り、草の明るさの中で石だけが古い影を抱えていた。保存のため冬は閉じる場所だと知り、今の季節に来た意味を感じた。
- 大太鼓の館で見た太鼓は直径3.8メートル、重さ3.5トン。音を聞かなくても、その大きさが空間の空気を押し返しているようで、影まで厚く見えた。
- 鷹巣のチックタグズは昼11時半から17時まで営業し、夜は予約制。外の暑さを離れて、素材を大切にする昼食と窓辺の薄い影で歩幅を戻したい。
- 森吉 森のテラスには田畑、ため池、森をつなぐ28のテラスとデッキの小道がある。庭なのに地形そのものが歩道になっていて、影が斜面をゆっくり移っていた。
- 阿仁前田温泉駅は、山あいの移動を休息へ変えられる駅。線路の向こうに森が迫り、列車を待つ時間さえ、木々の影を眺める小さな停留所になった。
- 森吉山ダムの湖は森吉四季美湖と呼ばれ、堤体へ向かう県道の通行止めは4月に解除されている。晴れ間の湖面では、山より雲の影が早く動きそうだ。