LoqiRoam · 旅日記
黒部の文字を拾う散歩
電源開発の記憶から橋、ダム、絵画、足湯へ、黒部の水と人の営みをたどった散歩。
宇奈月の入口でまず黒部川電気記念館に入り、峡谷が美しいだけの場所ではなく、水を電気へ変えてきた土地だと知った。外へ出ると、看板の「やまびこ」という言葉が急に具体的になる。旧山彦橋から新山彦橋を見上げ、列車の音が山へ返る道を歩く。その軽やかな高揚から一転、宇奈月ダムでは97メートルの壁を前にして、山の中へ人が刻んだ時間の大きさに立ち止まった。戻る途中でセレネ美術館へ寄り、今度は黒部の険しさが絵の中で静かにほどけていくのを眺める。最後は宇奈月公園の足湯おもかげで、急流に磨かれた石を足元に感じ、湯めどころ宇奈月で旅を閉じた。歩いた距離より、音、壁、絵、湯の順に景色の読み方が変わったことが印象に残る。
この旅の足跡
- 駅前の黒部川電気記念館は、無料展示なのにリモコンカメラで黒部湖付近を見られる。水力の物語が看板の向こうから急に立体的になった。
- 旧山彦橋から新山彦橋を眺めるやまびこ遊歩道は約2.5km。列車の音が山に返るという名前を、細い道の途中で確かめたくなる。
- 宇奈月ダムは高さ97m、黒部川をせき止める大きな重力式ダム。温泉街から歩いて近づくと、山の静けさの中に人の尺度を超えた壁が現れる。
- セレネ美術館は黒部峡谷を題材にした現代日本画を展示し、4階には温泉街を望む展望ギャラリーもある。荒々しい谷が室内で別の速度になる。
- 宇奈月公園の足湯おもかげは約40℃で、黒部川の急流に洗われた自然石が足元に使われている。湯けむりの中で、石の丸みが気になった。
- 湯めどころ宇奈月は9時から22時まで開き、屋外足湯と飲泉、休み処も備える。旅の終わりに、街の暮らしへ入るような入口だった。