LoqiRoam · 旅日記
看板の先で、海峡がひらく
鳴門の看板、巨樹、交流史、川辺、海峡、地域の食をつないだ散歩。
鳴門では、最初から渦潮を目指さず、駅前の看板を読むところから歩き始めた。店ごとに違う文字や道の曲がり方を眺めていると、観光地の入口にも生活の時間があると気づく。そこから大麻比古神社へ移ると、クスノキの大きさに迎えられ、歩いていた時間が一気に古くなった。鳴門市ドイツ館では板東俘虜収容所と地域住民の交流に触れ、鳴門が海の景勝地だけでなく、遠い国との出会いを抱えてきた土地だと見えてくる。大谷川沿いで展示の余韻をほどき、最後に渦の道へ出ると、細い道で集めた発見が海峡の激しい流れに結び直された。帰りには道の駅で鳴門金時の看板を眺め、景色だけでなく暮らしの味も持ち帰りたくなった。
この旅の足跡
- 駅前の商店をつなぐ道では、店ごとに違う書体の看板が目に入る。観光地へ急ぐより、何の店か想像しながら歩く時間に鳴門の日常がにじんでいた。
- 大麻比古神社の境内には鳴門市最大のクスノキが立つ。参道の先で幹を見上げると、町歩きの時間が急に千年単位へ伸びたようで驚いた。
- 鳴門市ドイツ館には、板東俘虜収容所でのドイツ兵と地域住民の交流を伝える資料がある。海辺の町にこんな国際史が重なることが意外だった。
- 大谷川はゲンジボタルの生息地として知られ、川沿いには観察道も設けられている。昼の水面は穏やかだが、夜に別の表情を見せると思うと足を止めた。
- 大鳴門橋の下を進む渦の道では、約45メートル下の海峡を見下ろせる。橋の巨大さより、足元の水が刻々と変わることに目を奪われた。
- 道の駅くるくるなるとは鳴門金時やれんこんなどを扱う食の拠点で、営業時間は9時から17時。旅の最後に、景色ではなく土地の味が看板になっていた。