LoqiRoam · 旅日記
谷あいで、光の境目を拾う
根雨宿から日野川、山の社と滝を経て、明地峠で谷全体の光に戻る旅。
根雨駅を出ると、宿場の通りは思ったより短く、そのぶん脇道の気配が濃かった。板井原川の方へ寄り、朝の建物の影が水にほどけるのを見てから、旧根雨公会堂へ上がった。たたら製鉄で栄えた家の記憶が、町を見下ろす白い建物に残っている。そこから日野川のオシドリ観察小屋へ下りると、季節外れの静けさの中で、鉄橋の影だけが水面を動いた。午後は山側へ向かい、金持神社の杉木立、滝山公園の龍王滝へと光を細くしていく。最後に明地峠へ上がると、谷は遠く、空の色を受ける器のようだった。名所を集めたというより、町の明るさから水、木陰、高みへ、視界の幅を少しずつ変えた一日だった。
この旅の足跡
- 根雨宿の通りは約500メートル続き、板井原川沿いに裏道も残る。表通りより先に、朝の影が動いていた。
- 旧根雨公会堂は、たたら製鉄で財を成した近藤家ゆかりの建物で、町並みを見下ろす高台にある。白い壁だけが先に光った。
- オシドリ観察小屋の前を日野川が流れ、秋から春には群れが越冬する。今日は鳥の姿より、鉄橋の影が水面を横切る瞬間に驚いた。
- 金持神社は境内を自由に参拝でき、授与所は10時から16時まで。名前の強さとは反対に、杉の間の光はひどく静かだった。
- 滝山公園には小泉八雲が再話した幽霊滝の伝説に結びつく龍王滝がある。木々の間で、滝音だけが先に見えた。
- 明地峠展望台は標高650メートルで、大山のふもとの谷を望む。雲海は早朝の名物だが、夕方の谷にも薄い青い層が残っていた。