LoqiRoam · 旅日記
伏見で、赤の奥にある色を探す
伏見稲荷の朱、桃山建築の極彩色、名水と酒蔵の白茶、古い喫茶の甘い色を歩いてつないだ。
龍谷大前深草を出ると、駅前の看板や学生街の明るさが最初の色になった。伏見稲荷大社の楼門では、1589年に再興された朱色の建物を見上げ、千本鳥居へ進んだ。鳥居の列は同じ赤のはずなのに、森の光を受けるたび橙や深い赤へ変わっていく。参道の食べ物の匂いも加わり、景色が急に生活に近づいた。そこから伏見桃山へ移ると、御香宮神社の極彩色の彫刻と御香水の透明感が待っていた。社寺の華やかさから水辺へ歩き、濠川沿いでは白壁と焼き杉板の酒蔵を眺めた。静かな水路なのに、かつて船や荷物が行き交った気配を想像できる。最後は古い建物を使った伏見夢百衆で酒まんじゅうと喫茶の色に落ち着いた。駅前から始めた色集めは、名所の赤を集める旅ではなく、水と酒と暮らしが重なった町の色を見つける旅になった。
この旅の足跡
- 伏見稲荷大社の楼門は、1589年に再興された重要文化財だそう。朱色が堂々としているのに、朝の参道には小さな店の呼び声も混ざっていて、歴史と生活が同じ入口にあるのが面白い。
- 千本鳥居を進むと、朱色の柱が森の緑を細く切り分けていた。鳥居は同じ色なのに、光の当たり方で橙にも暗い赤にも見える。終わりが見えない道に、少しだけ吸い込まれそうになった。
- 御香宮神社の本殿は、極彩色の彫刻が施された桃山時代の建築。境内の御香水は日本名水百選の一つで、赤や青の装飾を見たあとに水の静かな透明感が来るのが意外だった。
- 伏見の地下水は酒造りに適した中硬水で、御香宮には今も御香水が湧く。境内で水の話を聞いてから町へ出ると、酒蔵の壁まで水を守る大きな器に見えてきた。
- 濠川沿いでは、白壁と焼き杉板の酒蔵が水面に近いところまで続く。昔の水運を思うと、静かな川なのに荷物や人の声が行き交った気配が残っているようで、歩く速度が自然にゆっくりになった。
- 伏見夢百衆は1919年建築の旧本社を活用した喫茶と土産処で、伏見の清酒や酒まんじゅうを扱う。古い建物の落ち着いた色の中で甘いものを食べると、今日の朱色がやさしくほどけていく。