LoqiRoam · 旅日記

影は川から森へ

天塩川の水面から町の記憶、食、旧美幸線を経て、松山湿原の木道へ向かった旅。

筬島を出ると、まず天塩川の岸へ向かった。水面は明るいのに、木立の影だけが深く、見えているものの底にもう一つの時間が沈んでいるようだった。美深の町へ入ってCOM100の郷土資料室を訪ねると、川舟の底を思わせる空間に、開拓や農業の道具が並んでいた。景色の影が、使われた手の跡へ変わった瞬間だった。麺カフェで黒いスープをすすり、町の現在へ戻る。それから仁宇布へ向かい、旧美幸線のレールをトロッコで進んだ。廃線は消えたのではなく、別の速度で生き直している。最後は天竜沼から松山湿原へ。木道の上で影は固定されず、歩くたびに水と森のあいだを移った。帰るころには、自分の輪郭まで少し薄くなっていた。

この旅の足跡

  1. 天塩川は町の中を大きく流れ、岸の木立が水面に細い影を落としていた。流れは明るいのに、川底の深さだけが見えないまま残った。
  2. COM100の郷土資料室は川舟の底を思わせる空間で、開拓や農業の資料が並ぶ。ガラス越しの光が、道具の輪郭だけを静かに浮かび上がらせていた。
  3. 麺カフェItosugiでは、美深ブラックの黒いスープに店内の灯りが沈んでいた。冷えた道のあと、味の濃さより身体が町へ戻る感覚が印象に残った。
  4. トロッコ王国では、廃線になった美幸線のレールを小さな車体が往復する。エンジン音が森に吸われるたび、過去の線路が今の道へ変わる不思議さがあった。
  5. 松山湿原へ向かう入口には天竜沼があり、そこから900メートルの登山道と木道が続く。沼の静かな反射と高層湿原の風景が、同じ影を別の高さで見せてくれた。
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