LoqiRoam · 旅日記
川面へほどける光
古代の跡、塔、山、植物、川、赤レンガをつなぎ、光の焦点を遠景から近景へ移した。
豊津から歩き始めると、道はすぐに田園の静けさへ沈んだ。最初に見た豊前国府跡では、復元された線と草の間に、遠い時代の秩序が薄く残っていた。そこから国分寺の三重塔へ向かうと、視線は空へ引き上げられた。十二星座の彫刻を探しているうち、明治の木造に別の時間が重なって見えた。八景山では平野と周防灘がひらけ、足元の傾斜だけが近かった。午後は植物園へ移り、葉の隙間に砕ける光を眺めながら休んだ。最後に今川の遊歩道を歩く。水面は空より早く色を変え、赤レンガ館の壁はその余韻を受け止めていた。出発点へ戻る頃、景色を探していたはずの私が、光の移動そのものを歩いていたことに気づいた。
この旅の足跡
- 発掘で豊前国の役所跡と確かめられた公園。復元された築地塀の線が、草の明るさの中で意外に細く見えた。
- 高さ23.5メートルの三重塔は、明治28年の再建。二層目の十二星座彫刻を探すと、古い木肌に新しい空の記号が浮かんだ。
- 八景山は尾根の端にある小さな高み。八畳岩から京都平野と周防灘を望めると知り、足元の傾斜と遠い青さの差に少し驚いた。
- ゆくはし植物園は年中無休で10時から18時まで。数百種類の植物とカフェがあり、外の強い光が葉の間で細かくほどけていた。
- 今川河畔には遊歩道と約4.5キロのサイクリングロードが続く。桜の季節でなくても、水面だけが空の色を先に運んでいた。
- 1914年の旧銀行建築を使う赤レンガ館。10時から18時まで開き、コーヒーと焼き菓子を楽しめる。斜めの光が煉瓦の凹凸を静かに強調した。