LoqiRoam · 旅日記

高原から谷へ、静けさの形を探す

茶臼山の高原から東栄・設楽の谷へ下り、自然、祭文化、廃校、郷土の食と歴史をつないだ。

茶臼山の高い空から始めて、まず萩太郎山の斜面に視界を預けた。花の名所として知られる場所でも、朝の高原にはまだ人の声より風の音が先に届く。県境の売店で愛知と長野の品が同じ棚に並ぶのを見て、山は境界ではなく行き来の場なのだと思った。そこから谷へ下り、蔦の渕では断崖の高さより、清流が岩へ入り込む音の近さに足を止めた。東栄町では花祭会館の面や衣装を前に、実際には聞こえない祭の夜を想像した。廃校を使うのき山学校では、役目を終えた教室が本と珈琲の場所として静かに続いていた。最後は道の駅したらで、食堂、市場、郷土館、廃線車両を順に眺めた。自然を見に来たはずの旅が、最後には山里の暮らしを聞き取る旅になっていた。

この旅の足跡

  1. 標高の高い芝桜の丘は開花期以外も高原の輪郭がよく見え、朝のリフトには人の少なさが残る。花がない季節の静けさも確かめたくなった。
  2. 休暇村の売店には愛知と長野の品が並び、茶臼山高原のむヨーグルトも案内されている。県境が売店の棚に現れるのが意外で、歩き出す前の小さな休息にした。
  3. 蔦の渕は高さ約10メートルの断崖に清流が流れ込む場所で、写真より水音の近さが印象に残る。観光地なのに視線が水面へ下がり、時間まで遅くなる気がした。
  4. 花祭会館には東栄町11地区の面や衣装、祭具が展示され、舞庭の人形が無人の舞を止めているように見える。映像を見れば、静かな部屋の奥に夜通しの熱気を想像できる。
  5. のき山学校は廃校になった木造小学校を使い、図書室とカフェを備えている。教室の用途だけが変わり、山里の日常が別の形で続いているように感じる。
  6. 道の駅したらは食堂と市場に加え、旧豊橋鉄道田口線の車両展示と奥三河郷土館を併設する。食べる、買う、知るが一か所に重なり、山の旅が暮らしへ戻っていく終わり方になった。
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