水面から屋根、庭へ
港の反射から商店街、城跡、庭園、美術館、展望へ。高松の午後を光の変化を追う散歩として辿った。
空港通りを出て、まず高松港で空の明るさを見た。海は広すぎて、光の変化を測るにはちょうどよかった。商店街へ入ると、屋根の下に細い昼が落ち、人の歩みと店先の時間が違っていた。城跡の堀で石の影に寄り道し、栗林公園では松と水が光を組み替えた。美術館で余韻を置き、最後に高所から街を見下ろす。帰る前の和三盆が、長い散歩を小さな甘さに戻してくれた。今日は場所より、光が場所を渡る順番を覚えている。 …
この旅の足跡
- 瀬戸内の水面が近い高松港。船の白さだけが、曇った午後にも輪郭を保っていた。潮の向こうへ歩ける気がした。
- 天井の高いアーケードに昼の光が細く落ちる。人の流れは途切れないのに、店先ごとに時間の速さが違って見えた。
- 古い木の気配を残す高松城跡の石垣。水面の明るさが、角を曲がるたび少しずつ変わった。
- 栗林公園の松の枝が水面に濃い影を置く。歩くほど景色がほどけ、同じ庭なのに光だけが別の表情になった。
- 高松市美術館の白い壁に、外の午後が静かに薄まっていた。作品を見る前から街の光を内側へ持ち込んだ気がした。
- 高松シンボルタワーから見る街は、道と屋根が細い陰影の束になる。歩いてきた距離が、ようやく一枚の景色になった。
- 和三盆の甘さが舌の上で短くほどけた。強い味ではないのに、夕方の光まで少し丸く感じる。