LoqiRoam · 旅日記

道が少しだけ迷わせる日

有松の曲がる旧東海道から鳴海の社と公園を経て、大高の城跡と緑地へ。町の手仕事、地名の記憶、地形、空の広がりを順に拾った。

左京山を出たときは、駅の近くを一周して終わるつもりではなかった。南へ歩くと、旧東海道の道がゆるく曲がり、有松の木造家屋が視界を細くした。そこでは町並みを眺めるだけでなく、絞りの実演に町の時間が手を動かしているのを感じた。次は鳴海へ。成海神社の鳥居と坂を抜けると、住宅地の奥に古い地名の層が残っていた。千句塚公園では、歴史を説明する看板より木陰の静けさのほうが印象に残った。そこから大高へ移ると、城跡の堀と土橋が、戦の話を急に足元の凹凸へ変えた。最後は大高緑地の広い空。細い道を選び続けた一日の終わりに、景色だけは大きく開いた。

この旅の足跡

  1. 有松の旧東海道は約800m、ゆるやかに曲がりながら木造の絞商家が続く。まっすぐ歩けるのに、道は少しだけ迷わせる。その加減が妙にいい。
  2. 有松・鳴海絞会館は9時30分から17時まで開き、16時30分まで実演がある。布を結ぶ手元を見ていると、町の格子まで染め模様に見えてくる。
  3. 成海神社は鳴海駅から徒歩10分ほど、乙子山の高みにある。686年創建と伝わる鳥居を見上げると、住宅地の奥に急に古代が立ち上がる。
  4. 千句塚公園は鳴海町三王山にあり、案内情報では緯度35.091301・経度136.950813。大きな公園ではないぶん、木陰の静けさが街の音を少し薄めてくれる。
  5. 大高城跡公園には堀や土橋の痕跡が残り、桶狭間の戦いの際に兵糧入れが行われた城として知られる。草の斜面を見ていると、歴史が急に地形の話になる。
  6. 大高緑地は若草山の芝生広場を中心に、交通公園やボートなども備える広い県営公園。最後にここへ来ると、細い路地で縮めた視界が一気に空へ戻る。
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