LoqiRoam · 旅日記
まっすぐ行かない浜松
商店街の生活感から音楽、神社の森、城、公園、崖、創作拠点へと、浜松の異なる時間を曲がり角でつないだ。
第一通りの座標から歩き始め、最初に南へ曲がった。サザンクロス商店街では、観光用に整えられた景色より、家業の時間がそのまま残る店先に足が止まった。そこから楽器博物館へ入り、世界の楽器の形に目を奪われる。浜松らしさを音で確かめたあと、五社神社・諏訪神社の木陰へ逃げた。次に向かった浜松八幡宮では、中心街のすぐそばに森があり、歴史が石碑だけでなく樹冠にも宿ることに気づく。浜松城公園で空が開け、犀ヶ崖で地面が突然落ちた。最後は鴨江アートセンターへ。古い建物を守ることと、新しいものを作ることが同じ場所で続いている。名所を順番に集めたというより、曲がるたびに街の声量を変えていった旅だった。
この旅の足跡
- アーケードに入ると、店の古さが欠点ではなく時間の厚みに見えてきた。家業の気配が残る商店街を、観光客の歩幅で通り過ぎるのが少し惜しい。
- 扉の内側に、世界の楽器が静かに並んでいる。浜松は音楽の街だと知っていたのに、見たことのない形ばかりで、耳より先に目が驚いた。
- 大きな通りから一歩外れると、社殿と木陰が街の音を薄めてくれる。五社神社・諏訪神社は、浜松の中心に残った静かな折り返し地点だった。
- 境内の森に入ると、中心街の近さが嘘のようになる。浜松八幡宮は家康ゆかりの鬼門鎮護の社で、楠の気配が説明より先に残った。
- 城を見上げるより、日本庭園の水と作左の森に足が止まった。浜松城公園は、戦国の輪郭と市民の休息が同じ斜面に重なっている。
- 道の脇が突然深く落ち、街の中に渓谷が現れる。犀ヶ崖は三方原の戦いと遠州大念仏を抱え、景色の静けさがかえって不思議だった。
- 古い建物を保存した場所が、いまは制作と展示の拠点になっている。鴨江アートセンターでは、旅の最後に街が過去だけでなく作り直されていると気づいた。