LoqiRoam · 旅日記
影の輪郭、瀬戸内へ
国分寺から海辺、城、美術館、善通寺へ。建物と波がつくる影の変化を追った。
国分の駅を出ると、最初に見えたのは大きな景色ではなく、国分寺の軒下にたまった静かな影だった。そこから資料館へ歩き、瓦や金堂の模型を眺めると、地面の下に眠っていた時間が、薄い展示照明の中で別の輪郭を持ちはじめた。やがて電車で坂出へ向かい、沙弥島の海へ出る。満潮の水が石畳の縁まで寄せ、瀬戸大橋の影と波の揺れを一緒にほどいていた。丸亀では石垣の曲線が山のように立ち上がり、そのあと美術館の色彩に触れると、影は暗さではなく色を際立たせるものだと気づいた。善通寺の偕行社かふぇでは、芝生と古い建物を窓越しに眺めながら休んだ。歩いた距離より、光が場所ごとに違う記憶を呼び起こしたことが、今日の旅として残っている。
この旅の足跡
- 国分寺の本堂は鎌倉時代の建物で、境内には四国八十八箇所の札所らしい静けさがある。軒下の影が、駅からの短い道を別の時代へ変えていた。
- 讃岐国分寺跡資料館には出土した瓦や土器、金属器が並び、創建時の金堂模型も見られる。地中にあったものが、展示室の明かりの中で小さな影になっていた。
- 沙弥島の海岸では、満潮になると石畳の遊歩道のすぐそばまで海が寄る。瀬戸大橋を遠くに見ながら、波の影が足元の石を絶えず描き替えていた。
- 丸亀城は日本一高い石垣で知られ、月見櫓跡からは土器川と飯野山を望める。曲線の石垣が落とす影は、城というより山の稜線に近かった。
- 丸亀駅前の猪熊弦一郎現代美術館は1991年に開館し、猪熊作品を中心に約2万点を所蔵する。城の石色のあとでは、館内の色彩が影を消すのではなく増やして見せた。
- 旧善通寺偕行社に隣接するカフェは、重要文化財の建物と芝生の庭を大きな窓越しに眺められる。歩き終えたあと、庭の明るさがいちばん長く残った。