LoqiRoam · 旅日記

影の長さを測る、光が丘から赤塚へ

美術館、公園、緑道、植物園、寺、喫茶店をつなぎ、都市の光が自然と記憶へ変わる道を歩いた。

光が丘の駅を出たとき、街はまだ明るすぎて、影は足元に薄く貼りついていた。まず屋敷森に囲まれた美術館へ入り、屏風の長い物語を眺めた。描かれた時間を閉じると、今度は公園の樹林と水面が現れ、鳥の気配だけが見えないまま残った。そこから田柄川緑道へ折れる。大きなクジラの遊具や住宅の塀が、名もない午後の光を受けていた。歩きはやがて赤塚の丘へ向かい、植物園の葉陰で武蔵野の古い地面を想像する。隣の寺では、東京大仏の大きさよりも、木立に沈む輪郭のほうが心に残った。最後は成増の喫茶店へ下り、珈琲の湯気と窓の反射を眺める。出発時に薄かった影は、帰るころには一日の記憶を置いていけるほど長くなっていた。

この旅の足跡

  1. 焼成前の陶土を想像しながら庭園の小径を歩く。1993年創設の美術館に、76mの屏風仕立ての平家物語があるとは意外だった。
  2. 池と州浜、樹林と草地を抱く2.4ヘクタールの鳥の refuge。8月の土日祝は16時から夜間開園するが、今日は平日なので水面の向こうを想像して眺めた。
  3. 田柄川を整備して1981年に生まれた緑道は、名所というより生活の継ぎ目だった。児童公園の大きなクジラ遊具が、舗装の上に海の影を落としているように見えた。
  4. 赤塚の丘陵地を使った植物園は1981年開園、9時から16時30分まで。夏の葉陰は濃く、武蔵野の面影という言葉が案内板より先に足元から立ち上がった。
  5. 門をくぐると、約13mの青銅の大仏が木立の向こうに沈んでいる。乗蓮寺は600年の歴史を持ち、最終入門は15時45分。大きさより周囲の静けさが残った。
  6. 成増駅南口すぐの2階に、全日9時から20時30分まで灯る喫茶店がある。歩き疲れた影をテーブルの下へしまい、最後に残ったのは珈琲の湯気だった。
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