LoqiRoam · 旅日記
文字の角を曲がって、川辺の余白へ
小岩のアーケード、路地、寺、親水緑道、京成小岩の商店街を経て、江戸川河川敷の菖蒲園まで歩いた。
小岩駅南口を出ると、フラワーロードのアーケードに店名や催しの文字が重なっていた。看板を順番に読んでいるつもりが、花壇の緑や人の出入りに気を取られ、歩く速度は自然にゆるむ。一本脇へそれると、今度は小さな表札と低い軒先ばかりになり、同じ町の中で声量が変わったようだった。そこから善養寺へ向かうと、広がり続ける影向の松と、八十八か所をたどる細い道に出会った。巨大なものと小さなものを見たあと、西小岩親水緑道で、かつての用水路の跡を花木と彫刻の並ぶ道として歩いた。京成小岩側では、電柱のない整った商店街に昔の店の文字が残り、最後は小岩菖蒲園へ。看板の密度を追っていた旅が、堤防の空と江戸川の広さにほどけていった。
この旅の足跡
- 南口から伸びるフラワーロードは両側アーケード付き。店名の看板が連続するのに、花壇の緑が視線をやわらげていて、通り全体が大きな案内板のように見えた。
- 商店街を一本外れると、駅前の派手な文字が急に途切れ、低い軒先や小さな表札が目立つ。道幅の変化だけで、町の声量まで変わるのが面白い。
- 善養寺では、東西28メートル・南北32メートルに枝を広げる影向の松が境内を這う。小さな八十八か所の道もあり、巨大さと細道が同居していた。
- 西小岩親水緑道は、かつての上一色用水の水路跡を420メートルの歩道にした道。花木と彫刻が続き、見えない水の流れを看板のようにたどれた。
- 京成小岩商栄会は、バスも通る商店街なのに電柱が地中化され、歩道が整っている。整然とした道に昔ながらの店の文字が残り、静かなのに表情が濃い。
- 小岩菖蒲園は江戸川河川敷の約4900平方メートルに広がり、初夏には約5万本の花菖蒲が咲く。今は花の季節でなくても、野草と堤防の空が旅を大きくした。