LoqiRoam · 旅日記

潮と酒蔵、音の余白をたどる安芸津

安芸津の酒造文化から三津湾の食と牡蠣筏、潮で姿を変える小芝島までをつないだ。

安芸津に着いて、最初に向かったのは海ではなく、少し高い場所にある神社だった。彫刻の細かな社殿と、酒造りを支えた人物の銅像。木々の葉擦れを聞いていると、この町の酒は水と米だけでなく、長い時間の積み重ねから生まれるのだと思えた。坂を下り、柄酒造と今田酒造本店の前を歩く。蔵の中へは入らなくても、入口の静けさや通りの匂いが、町の仕事をそっと伝えてくる。そこから風早へ向かい、海を望む食卓で魚介と野菜を味わった。窓の外ではフェリーが進み、牡蠣筏が波に揺れている。最後は大芝島側へ足を延ばし、干潮時だけ形を変える小芝島を眺めた。今日の道は、鐘や音楽を探す旅ではなかった。蔵の戸、列車、船、筏、そして潮の間にある小さな音を、順番に拾っていく旅だった。

この旅の足跡

  1. 坂を上ると、彫刻の濃い社殿と三浦仙三郎の銅像が現れた。酒の町は、まず木々のざわめきから始まるらしい。
  2. 三津の町角で、柄酒造の古い蔵に「於多福」の気配を感じた。平日の蔵前は静かで、酒の音はむしろ聞こえないところに残る。
  3. 今田酒造本店は1868年創業で、入口で商品を買えるが見学や試飲はできない。近づきすぎない距離が、かえって蔵の呼吸を想像させる。
  4. 海を見渡す凪の蔵で、魚介と地元野菜の料理を待つ。テラスの向こうをフェリーと牡蠣筏が横切り、食卓そのものが湾の音を拾っていた。
  5. 三津湾には牡蠣筏が幾重にも浮かび、列車の車窓からも見える景色だという。波は穏やかなのに、海の仕事だけが忙しく動いている気がした。
  6. 大芝島から見る小芝島は、干潮時だけハートの輪郭になる。形を探しているうち、潮の満ち引きが旅の時間を決めていると気づいた。
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