LoqiRoam · 旅日記
城下町で、光の向きを拾う
城の金鯱から土蔵、商店、工場、陶磁器、星空へ、光の質を変えながら歩いた。
名古屋城では、金鯱の強い反射よりも、石垣に落ちた低い影が先に目に入った。本丸の豪華さを背に市役所へ歩くと、昭和初期の庁舎は別の重さで光を受けていた。そこから四間道へ向かうと、白漆喰と黒瓦の土蔵が続き、路地では空が細くなる。円頓寺では軒先の明るさに人の時間が戻り、商店街のにぎわいを少しだけ受け取った。公共交通で西へ移ると、赤煉瓦の工場と動く機械が現れた。硬い金属の光のあと、ノリタケの森では陶磁器の白と庭の緑がゆっくり目を休ませる。最後に科学館の暗いドームへ入り、街で拾った光を星の尺度へ置き直した。出発時には屋根の上にあった光が、帰りには見えない空間の中に残っていた。
この旅の足跡
- 金鯱が屋根の上で光を返し、石垣の影だけが低く残っていた。復元された本丸御殿の金具は、近づくほど静かに輝く。
- 瓦の縁取りに淡い光が乗り、現役の庁舎なのに記念建築のように見えた。昭和8年の市役所は国の重要文化財でもある。
- 白漆喰と黒い本瓦が石垣の上で連なり、路地に入ると急に空が細くなった。商人町の境界が、今も道幅に残っている。
- 古い門前町の屋根の下に、明治創業の店と新しい店が並ぶ。日なたの看板から日陰の軒先へ、商店街の時間が細かく変わった。
- 赤煉瓦の工場跡で、布を動かした機械と自動車の機械が同じ建物に並ぶ。止まった金属にも、作業の光が残っている気がした。
- 陶磁器の白は光を吸うのではなく、細かく返していた。ノリタケの森ではクラフトセンターと庭が近く、工芸と緑の間を歩ける。
- 外の夕光を見たあと、プラネタリウムの暗さに入ると目が時間を失う。科学館は9時30分から17時までで、最後に空を内側へ反転できる。