LoqiRoam · 旅日記
刃音のあと、屋根の影を追う
桜川の水辺から関の刃物文化、寺、美濃の商家町を経て、小瀬の長良川へ向かう寄り道の旅。
関下有知を出て、最初から名所へ急ぐのをやめた。桜川の水辺へ少し寄り道すると、駅を中心に円を描くより、流れに沿って道を選ぶ方が今日らしい気がした。そこから関へ移り、刃物会館で道具の姿を眺め、関鍛冶伝承館でその背後にある火と技術の時間を想像する。刃音の余韻を抱えたまま関善光寺へ曲がると、町の密度がすっと薄くなった。午後は美濃へ足を伸ばし、うだつの上がる町並みで屋根と商家の影を追う。最後に小瀬の長良川へ戻る。昼の路地とは別の暗さの中で、鵜舟と篝火の気配を待つ。結局、最初に選んだのは場所ではなく、曲がる順番だったのかもしれない。
この旅の足跡
- 桜川は関市下有知にある水辺の散策候補。駅前だけでなく、流れのある方へ曲がると旅の速度が変わりそうで、最初の寄り道に選んだ。
- 岐阜関刃物会館は午前9時から午後5時まで開館し、関の刃物を実際に見て選べる。道具の重さを想像すると、町の歴史が急に手のひらへ来る。
- 関鍛冶伝承館では関ゆかりの刀や鍛冶の歴史を学べ、古式鍛錬の公開日もある。刃物会館の静かな陳列のあとなら、火の音まで想像してしまう。
- 関善光寺は関の町中で法話も予約できる寺。刃物の話から急に静けさへ曲がると、旅の耳がよくなり、境内の余白まで見えてくる。
- 美濃市のうだつの上がる町並みには江戸期から近代の建物が残り、今も商いが続く。屋根の意匠を追っていたら、目的地より横道が気になりそうだ。
- 小瀬鵜飼は長良川河畔で5月11日から10月15日まで行われ、船頭が棹と櫂で船を進める。昼の町歩きの終わりに、闇と火の気配を残したい。