LoqiRoam · 旅日記
草江から、まっすぐではない常盤湖
菓子、動物、彫刻、植物、湖畔、産業史を、角を選ぶ順番でつないだ草江発の旅。
草江では、駅前から大きな目的地へ急がず、まず住宅地の細い道を選んだ。石炭を思わせる菓子を見つけたことで、宇部の産業史がいきなり展示室ではなく、ショーケースの中から始まった。その後、ときわ公園へ入り、動物たちの予測できない動きに予定を崩され、彫刻の丘では今度は動かないものと湖の風を見比べた。温室の植物は遠い気候を連れてきて、湖畔の周遊路は情報を静かに水面へ流してくれる。終わりに石炭記念館から町を眺めると、最初はただの出発点だった草江まで、地上と地下の時間がつながった場所に見えてきた。
この旅の足跡
- 草江駅から少し歩くと、黒い石炭を思わせる菓子が並ぶ。甘いのに、宇部の産業史をひとかけら持ち帰るようで不思議だ。店先の道まで香りが続いていた。
- 動物園なのに、檻を見るというより生息地の隙間を覗く感じがする。猿たちの動きがこちらの予定を軽く裏切り、次の角を選ぶ気分まで変えてしまった。
- 湖を背にすると、芝生の上の彫刻が急に会話相手になる。作品を理解した気になった直後、風景のほうが先に意味を変えてしまうのが面白い。
- 温室に入ると、山口の空気が一度ほどけて、乾いた土地や湿った森の断片が並ぶ。無料で覗ける部分と有料の植物館の境目も気になった。
- 常盤湖の周遊路は、施設の列から水面の余白へ旅をほどいてくれる。白鳥大橋の近くで足を止めると、さっきまでの展示が遠い夢のように薄まった。
- 石炭記念館の展望台から見る宇部は、地下の仕事が地上の町を形づくったことを静かに教える。出発点の草江も、ただの駅ではなくなっていた。