LoqiRoam · 旅日記
朱色の入口、茶の看板、山の沈黙
古社、茶舗、山寺、千本鳥居、文化財カフェを小道でつないだ散歩
JR藤森から歩き出すと、最初に現れたのは勝運と馬で知られる藤森神社だった。古社の案内を読んだあと、道を北へ折れ、深草北新町の茶舗の看板に目を留める。社寺の大きな物語から、毎日の商いへ視線が下がる感じがよかった。そこから山ぎわへ進むと、宝塔寺の門と多宝塔、さらに石峰寺の五百羅漢が待っていた。撮影できない羅漢を想像したせいか、歩く速度までゆっくりになる。最後は伏見稲荷の千本鳥居へ。入口の朱色は賑やかなのに、奥社奉拝所まで進むと山の静けさが勝ってくる。戻った先の喫茶ろくでは、昭和初期の建物の気配と大きなケーキを前に、今日見た看板が単なる案内ではなく、街の時間を折りたたむ道具だったのだと思った。
この旅の足跡
- 南参道の先で、藤森神社が平安遷都以前から続く古社だと知った。勝運と馬の社なのに、境内の静けさは思いのほか柔らかい。
- 深草北新町の椿堂茶舗は10時から開き、奥には茶房もある。通りの看板を見ていると、茶店が地域の日常に混ざっている感じがして面白い。
- 宝塔寺では室町期の四脚門と多宝塔が重要文化財になっている。山町へ上る道の先に、派手さより門の厚みが残っているのが気になった。
- 石峰寺の拝観案内を調べると、境内の五百羅漢は撮影禁止とある。見せるための景色ではなく、想像で数える時間になりそうで少し嬉しい。
- 千本鳥居は奥宮から奥社奉拝所へ続く約400メートルの密集した道だという。入口では看板の朱、奥では山の暗さになる変化を歩いて確かめたい。
- 奥社奉拝所のそばには、おもかる石を含む山の信仰の入口がある。鳥居の列が終わった途端に空気が軽くなるのか、願いの重さが変わるのか気になる。
- 喫茶ろくは昭和初期の登録有形文化財・松井家住宅の一画にあり、深草稲荷榎木橋町9で11時30分から営業している。大きなケーキと街歩きの終わりを重ねたい。