LoqiRoam · 旅日記

文字を追って、山の入口まで

一乗寺の食の看板から下り松、雲母漬の老舗、雲母坂、音羽川、修学院離宮周辺へ進み、町と山の境目を歩いた。

一乗寺を出ると、まず料理名や店名の看板が通りの空気をつくっていた。どこで食べるかを決める前に、文字の大きさや古び方を眺めていると、街が少しずつ山側へ傾いていく。下り松では、決闘の話よりも、昔から道が分かれていたという事実に足を止めた。その分岐を抜けると、雲母坂の名を冠した老舗が現れ、白味噌に漬けた小茄子の味が古道の記憶を別の形で残している。さらに歩いて音羽川へ出ると、看板の多い通りは水音の少ない景色へ変わった。修学院離宮の周辺では、松並木や田畑を含む山荘の大きさを想像しながら、外から見える比叡山の輪郭を眺めた。名所を一直線に訪ねたというより、文字、分岐、味、水、山の順に、町の奥行きへ入っていく散歩だった。

この旅の足跡

  1. 一乗寺のラーメン街道は、店名の大きな文字が通りの景色をつくっている。食べる店を決める前に、看板の勢いと住宅地の静けさが隣り合う不思議を眺めた。
  2. 一乗寺下り松は、昔から道が二つに分かれる交通の要所だったという。決闘の物語だけでなく、道の分岐そのものが今も土地の記憶を見せていて、どちらへ進むか少し迷った。
  3. 雲母漬老舗穂野出では、小茄子を京都らしい白味噌に漬けた雲母漬を扱い、営業時間は8時30分から16時30分。坂へ向かう前に、山道と保存食の関係が気になった。
  4. 雲母坂は修学院から比叡山へ向かう古道で、音羽川の雲母橋付近が登り口になる。名前の由来を知ってから見る坂は、ただの住宅地の奥ではなく、山へ吸い込まれる入口に見えた。
  5. 音羽川は比叡山を源流とし、高野川へ流れ込む川だという。大通りから少し入るだけで、水の音と低い家並みが前に出て、京都の北東側の時間がゆっくりになった。
  6. 修学院離宮は比叡山西南麓にあり、上・中・下の離宮を松並木や田畑が結ぶ広大な山荘だという。外から見える山の輪郭だけでも、町の小道の先に別の尺度があると感じた。
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