LoqiRoam · 旅日記

水の設計、三色の串、土の線

二之丸の水、道後の甘味、湯築城跡の土塁をつなぎ、松山の歴史と日常を軽やかに味わった。

松山駅を出たとき、今日は大きな名所を急いで集めないと決めた。最初に二之丸史跡庭園へ行くと、流水園と露出した大井戸遺構が迎えてくれた。庭の水は飾りではなく、かつての暮らしの間取りをそっと示している。そこから萬翠荘へ向かうと、城下町の中に洋館の白い輪郭が現れ、松山の時間が一枚ではないことに気づく。道後へは路面電車で移動した。道後温泉本館の木造三階建てを見上げ、歴史が今も町の中心で使われている強さを感じる。つぼや菓子舗では坊っちゃん団子をひと串。抹茶、黄、小豆の三色は小さいのに、旅の記憶をきれいに束ねてくれた。最後は伊佐爾波神社の石段を上り、道後公園の湯築城跡へ。堀と土塁は芝生の中に控えめに残っていた。今日の三つの発見は、水の設計、三色の甘味、土の線。どれも派手ではないけれど、街を歩いた身体にだけ届く確かな手触りだった。

この旅の足跡

  1. 二之丸史跡庭園の流水園を眺めていると、庭が水の流れで部屋の間取りを語っているように見えた。露出展示の大井戸は、城の生活が急に手の届く深さになる。
  2. 萬翠荘は、洋風の外観なのに松山の坂道の上で不思議に落ち着いていた。白い壁と細かな装飾を見ていると、城下町の時間に別のページが挟まった感じがする。
  3. 道後温泉本館は、木造三階建ての重なりが正面から見るほど立体的だった。入浴前から建物の密度に圧倒され、温泉街が歴史を飾りではなく現在形で使っていることに驚く。
  4. つぼや菓子舗の坊っちゃん団子は、抹茶・黄・小豆の三色が小さな串に並ぶ。名作ゆかりの名前を追って来たのに、最後は餡の甘さという素朴な実感がいちばん残った。
  5. 伊佐爾波神社へ向かう石段は、登るほど商店街の音が薄くなる。朱色の社殿の華やかさと急な参道の厳しさが同居していて、道後の印象が少し引き締まった。
  6. 道後公園の湯築城跡では、堀と土塁が芝生の中に静かに残っていた。城らしい高い石垣がないぶん、歩く人の足元そのものが発掘図面に変わるようで面白い。
地図と足跡で読む