LoqiRoam · 旅日記
曲がり角の先で、丹波がほどける
市島の史跡、食、寺、酒造りを、田園の道でつないだ遠回りの旅。
市島駅を出て、最初に向かったのは三ッ塚史跡公園だった。白鳳時代の廃寺跡と復元された鴟尾は、田園の静けさの中で少しだけ異物めいて見える。隣の民俗資料館で出土品や暮らしの道具を見ていると、遠い時代が急に手の届く大きさになった。そこから与戸へ歩き、ドイツパンと丹波栗の菓子が並ぶ穂のWonneで休憩。土地の素材なのに、店内の気分は思いがけず遠い。次は山際へ進んで白毫寺へ。九尺藤で知られる古刹は、花の盛りでなくても境内の時間がゆっくり流れていた。帰りは西山酒造場へ寄り、予約が必要な見学には踏み込まず、蔵の気配と発酵の文化を想像する。最後は看板の少ない道を選んだ。旅の終わりに残ったのは名所の数ではなく、古代の瓦、甘いパン、山門、米の匂い、そして曲がるたびに変わる空の広さだった。
この旅の足跡
- 白鳳時代の廃寺跡を公園にした三ッ塚史跡公園。花しょうぶの季節ではなくても、復元された鴟尾が妙に目立つ。古代の人はこの場所をどう見ていたのだろう。
- 三ッ塚廃寺跡に隣接する丹波市立市島民俗資料館には、地域の考古資料や暮らしの道具が集まっている。公園で見た鴟尾が、急に具体的な生活の隣へ戻ってきた。
- 緑の中の丹波 穂のWonneは、ドイツパンとケーキを扱うカフェ。丹波栗の菓子や庭席の案内を見て、田園の真ん中で急に遠い国へ曲がる感じがした。
- 白毫寺は705年開基と伝わる天台宗の古刹で、九尺藤や紅葉など季節ごとに表情が変わる。山際の静けさに立つと、藤の時期でなくても花の記憶が残っている気がする。
- 西山酒造場は1849年創業で、銘柄『小鼓』を生んだ酒蔵。直売は曜日で時間が異なり、見学は予約制。飲めない日でも、発酵の気配だけは覗いてみたい。
- 市島の道は、駅と田畑と集落の間で何度も細くなる。酒蔵の近くまで戻ると、観光地らしい看板より生活の音が先に届き、最後の寄り道は景色そのものになった。