LoqiRoam · 旅日記

海風の向きを変える寄り道

惣郷川橋梁、白須たたら製鉄遺跡、木与の棚田を軸に、道の駅の食と温泉、奈古の巨樹まで巡った旅。

宇田郷を出て、まずは惣郷川橋梁へ向かった。海の波打ち際に昭和の鉄道橋が曲線を描き、列車のためのものが景色の主役にもなっている。その意外さを抱えたまま白須へ進むと、今度は江戸時代のたたら製鉄の跡。見えない炎の気配を想像しながら、木与の棚田では急な山腹を石垣で使いこなす農の知恵に出会った。ここで旅の軸が、名所を見ることから土地の仕事を読むことへ変わった。帰りは道の駅で魚どんぶりを食べ、海を眺める温泉で足を休める。最後に奈古の大覚寺でビャクシンの巨樹を見上げると、今日集めた三つの発見――橋の形、鉄を生んだ山、潮風を受ける棚田――が一本の木の時間にそっと結ばれた。

この旅の足跡

  1. 海のすぐそばを、昭和7年完成の全長189メートルの橋が横切っていた。列車のための構造物なのに、波と夕日を受ける姿は景色そのものに見えて不思議だった。
  2. 白須のたたら製鉄遺跡は、江戸時代の製鉄所の炉や小屋の跡が残る場所。海を見た直後にここへ来ると、静かな山あいにも鉄を生んだ仕事の熱があったと想像が膨らんだ。
  3. 木与の棚田は急な山腹に石垣の畦を重ね、日本海を見渡せる。田んぼは平らな土地に置くものと思っていたので、潮風を受ける米の話まで聞こえてくるようだった。
  4. 道の駅阿武町では魚どんぶりや魚定食に出会え、二階の鹿島の湯から日本海と鹿島を眺められる。食べて温まると、旅の道筋が急に一本につながった。
  5. 奈古の大覚寺には町指定文化財の大きなビャクシンがある。食事と温泉のあとに木の時間へ戻ると、旅の発見は派手な景色だけではないと静かに納得した。
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