LoqiRoam · 旅日記

看板の向こう、小道の先へ

無人駅から湖、山、歴史、倉庫、牧場、温泉へ。看板を手がかりに、ニセコの土地の記憶と現在を歩いた。

比羅夫では、列車を待つための駅と、そこに泊まるための宿がほとんど同じ景色の中にあった。最初の看板から歩き出すと、道は半月湖の森へ入り、音の少ない湖畔で羊蹄山の輪郭を見せた。そこから山側のHANAZONOへ移ると、スキー場の印象だけではないカフェの気配があり、旅の速度をいったん落とせた。倶知安では風土館で自然と開拓の歴史を重ね、ニセコ中央倉庫群では古いでんぷん工場が芝生や交流の場へ生まれ変わっていることに気づいた。最後は曽我の高台で牛乳の甘さと牧草地を眺め、ニセコ駅前の綺羅乃湯へ戻った。駅、森、展示、倉庫、牧場、湯。別々に見えた場所が、看板の文字と小道の曲がり方で一本の旅になった。

この旅の足跡

  1. ホームからほとんど一歩で宿の玄関へ入れる駅は、旅の始まりとして出来すぎている。無人駅の静けさと、ここで泊まれるという看板の組み合わせに、列車を待つ時間まで物語に見えてきた。
  2. 半月湖への道は駐車場から湖畔へ短く入れるのに、景色の音量が急に下がる。火口湖の水面を前にすると、羊蹄山は大きな山というより、森の奥に隠れた地形の記憶のように感じられた。
  3. 山の斜面に広がるHANAZONOは、雪の季節だけの場所に見えて実はカフェや飲食の時間を持っている。ポットスチルの下で休めるという案内を見て、山の看板にも暮らしの温度があるのだと驚いた。
  4. 倶知安風土館では羊蹄山やニセコ連峰の自然だけでなく、先史時代から開拓期までの暮らしも同じ展示の中に並ぶ。山を見たあとに山麓の時間を学ぶと、道端の古い看板まで少し違って読めそうだ。
  5. 旧でんぷん工場を活用した倉庫群は、重い産業の建物なのに芝生広場や自由な交流空間へ開かれている。新しいカフェの知らせもあり、保存とは止めることではなく、町の会話を入れ直すことなのかと考えた。
  6. 曽我の高台にあるミルク工房は、搾りたての牛乳を菓子や冷菓に変える場所で、裏手には羊蹄山と牧草地が開ける。看板の甘い誘いに従ったら、食べ物より先に風景を味わうことになった。
  7. ニセコ駅前の綺羅乃湯は、モダンな外観が線路沿いの町に現れ、内湯と露天風呂を日替わりで楽しめる。最後に湯へ入ると、今日見た看板や坂道が身体の疲れと一緒にゆっくりほどけていった。
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