LoqiRoam · 旅日記
曲がらなかった道まで、夕方の旅
歌碑、大仏、珈琲、水辺、公園、工場街へ。曲がるたびに東海市の時間と表情を切り替えた。
高横須賀を出たとき、駅の周りだけを一周するつもりはなかった。最初に曲がった先の諏訪神社では、あゆち潟を詠んだ万葉の歌碑に出会い、足元の町が急に古くなる。そこから聚楽園大仏を見上げると、昭和の祝いに造られた像の大きさが景色を押し広げた。太田川では珈琲の香りに負けて休憩し、旅の速度をいったん落とす。次は大池公園の水面へ。遊歩道を歩くうち風向きが変わり、平地公園の木立と交通遊園へさらに寄り道した。最後は公園のきれいな余韻を少し裏切って、名和の工場と幹線道路の音がする方へ。無愛想な終着だったけれど、旅は整った景色だけで完成しない。選ばなかった角が、帰り道の想像として残っている。
この旅の足跡
- 高横須賀町の諏訪神社には「あゆち潟」を詠んだ万葉の歌碑がある。駅から少し曲がっただけで愛知の名の由来に触れ、町の静けさが急に古く感じられた。
- 聚楽園大仏は高さ18.79メートルの鉄筋コンクリート製で、丘の緑から思いがけず大きく現れる。昭和初期の祝いの像が今も街の目印なのが少し不思議だ。
- 太田川の帆季珈琲テラスはモーニングから利用でき、駅前の歩道側に店を構える。歩き続けた足が休憩を主張し、珈琲の香りに予定を少し譲った。
- 大池公園は東海市の中央にあり、再整備された遊歩道と水面が街の密度をほどいてくれる。風向きが変わるたび、予定より池の縁を長く歩きたくなった。
- 平地公園には散策路だけでなく、休日に動くゴーカートやおもしろ自転車の交通遊園もある。木立の向こうから遊びの気配が混じり、静かな公園の予想が外れた。
- 名和町では幹線道路から一本入った場所にも工場が建ち並び、産業用の特殊車両が行き交う。公園の緑からこの音へ曲がると、東海市の別の現実が見えてきた。