LoqiRoam · 旅日記

曲がり角は、山の町の内側へ

高遠の城跡から石仏、水路、神社、古い家、商店街へ。高低差と生活の気配をたどる城下町の寄り道旅。

高遠原を出たときは、桜で有名な城跡を見れば旅はまとまると思っていた。けれど高遠へ着くころには、どの道が谷へ落ち、どの坂が町を見返せるかのほうが気になっていた。高遠城址公園では、花の記憶の下にある平山城の輪郭を探し、建福寺では約40体の石仏に足を止めた。そこから六道一番井へ曲がると、岩盤の下を通る水路の話が現れ、鉾持神社の階段では屋根の向こうに山が開いた。最後は旧中村家と城下の商店街。なまこ壁、軒下、高遠そばの気配が、歴史を展示物ではなく今日の暮らしとして戻してくれた。雨の予報まで含めて、今回は大きな名所より、小さな曲がり角の連続が旅を決めた。

この旅の足跡

  1. 高遠城址公園は、桜だけでなく武田氏ゆかりの国指定史跡でもある。花のない季節に歩くと、城の輪郭より先に山の上の平地と谷の深さが見えてきた。
  2. 建福寺の境内入口には、高遠石工・守屋貞治らの石仏が約40体並ぶ。静かな坂道なのに、石の表情が多すぎて一度では見切れない。
  3. 六道一番井は江戸末期に整えられた用水路で、岩盤の下を約300メートル通る。水路沿いから南アルプスと城下を望めるという話に、道の下にも道がある気がした。
  4. 鉾持神社は高遠城の守護神として歴代領主に信仰された神社。地中から鉾が出たことが名の由来らしく、階段を上るほど町の屋根が小さくなっていく。
  5. 旧中村家「環屋」は、旧町長の屋敷を活用した場所。なまこ壁や門構えの残る町並みを見ていると、観光用に整えられた景色より、家が角を作っていることが面白くなった。
  6. 高遠の城下町には江戸時代の面影が残り、商店街では高遠そばや高遠まん頭、地酒にも出会える。雨の気配がある日は、店先の軒下だけで旅の速度が変わった。
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