LoqiRoam · 旅日記
石垣、湯気、編み目
暘谷の城下町から別府へ移り、湯・市場・竹細工の三つの発見を集めた。
暘谷駅から歩き始めると、駅名の奥に城下町の記憶が隠れていた。日出城跡の石垣を眺め、海の近くに築かれた町の輪郭を拾う。そこから別府へ移ると、竹瓦温泉の古い正面が、過去の展示物ではなく現役の入口として立っていた。次に覗いた駅市場では、惣菜と鮮魚が旅人向けに整いすぎない顔をしている。賑わいのあと別府公園で木陰に入り、最後は竹細工の細い編み目へ。城の石、湯の蒸気、竹の手仕事。三つの小さな発見が、町を平面の観光地から、時間の重なった場所へ変えてくれた。
この旅の足跡
- 暘谷駅を出ると、日出城は別名を暘谷城とも呼ばれたと知る。駅名がただの地名ではなく、城下町の古い光を抱えているのが面白い。
- 日出城跡には本丸跡の石垣や櫓、藩校の名残が残る。海の近くで石垣を眺めると、城は山の上だけにあるものではないのだと少し驚く。
- 竹瓦温泉は1879年創設で、現在の建物は唐破風造の正面を持つ。古い外観なのに湯屋として今も働いている、その現役感が旅の芯になった。
- べっぷ駅市場には、とり天や煮物などの惣菜と、大分の地場海産物を扱う鮮魚店が並ぶ。観光地の味より、町の今日を一口だけ覗いた気分になる。
- 別府公園には明治期に植えられた樹齢百年超の松もある。市場の音が遠のき、花の季節でなくても木陰が旅の速度をそっと落としてくれる。
- 竹細工伝統産業会館では、生活用品から人間国宝の作品まで竹工芸を見られる。温泉の町に、湯とは別の細い時間が編み込まれていた。