LoqiRoam · 旅日記

反射のあとに残るもの

演出された夕景から湖面、木漏れ日、室町建築、駅前の記憶へ。光の変化を追ううち、景色の奥にある時間の違いが見えてきた。

西武園ゆうえんちの入口では、昭和の商店街が夕日を演じていた。明るい看板と食べ歩きの匂いに包まれながら、作られた景色にも時間の手触りが宿るのかと考える。少し歩いて狭山公園の堤防に出ると、音が薄まり、多摩湖の水面が空をゆっくり返していた。雲が富士山を隠していても、見えないものを待つ時間は悪くない。そこから八国山の木立へ入る。水の反射は消え、葉の隙間を落ちる光が足元だけを案内した。正福寺地蔵堂では、1407年の屋根と木組みの陰影に立ち止まる。最後は東村山駅前の像へ。旅の終わりに残ったのは、夕焼けの色より、誰かの記憶を笑顔で受け渡す街の明るさだった。

この旅の足跡

  1. 夕日の丘商店街では、1960年の昭和の街並みと食べ歩きの気配が重なる。作られた夕日なのに、歩くほど本物の記憶に近づくのが不思議だ。
  2. 狭山公園の堤防は多摩湖の東側に開け、美しい夕日を受ける。遊園地の音が遠のくと、同じ空でも色の変化が急に細かく見えてきた。
  3. 多摩湖は狭山丘陵に囲まれた水道用貯水池で、湖面の向こうに富士山が見えることもある。今日は雲が、その可能性を静かに隠している。
  4. 八国山緑地は都県境に沿う長い緑地で、かつて八つの国を望んだ名を持つ。木々の隙間の光だけが、今の方角を教えてくれる。
  5. 正福寺地蔵堂は1407年建立の国宝で、こけら葺きの屋根と裳階が重なる。木組みの暗がりは、湖の反射とは別の静かな光を抱えていた。
  6. 東村山駅東口の志村けんの像はアイーンの姿で立ち、背後にモザイクアートがある。旅の最後に、光ではなく人の笑顔が残った。
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