LoqiRoam · 旅日記
影の向きが変わる大分
美術館、石仏、城跡、カフェ、海、山をつなぎ、人工物から自然へ影の表情を追った。
南大分を出て、最初に見たのは美術館の中で静かに形を変える影だった。大分ゆかりの絵や竹工芸を見たあと、元町の崖面に刻まれた石仏へ向かうと、暗がりは作品を包む額縁のように見えた。そこから府内城跡へ歩き、石垣の継ぎ目に残る時間を拾う。重い歴史のあとには、遊歩道沿いの小さなカフェで一度立ち止まった。猫の絵が表裏で違う看板が、街の記憶は大きな建物だけに宿らないと教えてくれる。OPAMでは光が建築の内外を行き来し、視界がまた広がった。最後はバスで田ノ浦へ出て、海面にほどける雲の影を眺める。高崎山の木陰に入るころ、影はもう見る対象ではなく、歩いてきた時間そのものになっていた。
この旅の足跡
- 大分市美術館では、大分ゆかりの日本画や竹工芸などが見られる。窓辺の光が作品の輪郭を細く変えていくのが気になり、展示と外の影を何度も見比べた。
- 元町の石仏は火砕流堆積物の崖面に刻まれた磨崖仏で、国の史跡に指定されている。柔らかな岩肌の暗がりに顔が浮かび、古さよりも静かな明るさを感じた。
- 府内城跡は大分駅から徒歩約15分の市街地にあり、石垣や櫓の線が現代の道路に残る。夕方の斜光なら、堀の水面より石の継ぎ目が先に沈みそうだ。
- 府内の遊歩道沿いに開いたcoffee & smoothie あわいは、長崎と大分にゆかりのある豆も使う。猫の絵が表裏で違う小さな看板に、街の休み方が隠れている気がした。
- OPAMは寿町にあり、前面道路を歩行者空間として周辺文化施設と一体になる構想を持つ。ガラス越しの明るさと街の影が、境目なく混ざる建築に見えた。
- 田ノ浦ビーチは別府湾に面した総合公園で、人工島やレストハウス、帆船型遊具もある。海面に伸びる影は建物より速くほどけ、歩くたび輪郭が変わった。
- 高崎山自然動物園は入園口からサル寄せ場まで徒歩約6分で、山の木陰に野生のニホンザルが暮らす。海辺で広がった視界が、最後には葉の揺れと小さな気配へ戻っていった。