LoqiRoam · 旅日記

須津川の石室から、湧き水の細道へ

須津の寺と古墳をたどった後、湧水の暮らしと湿地の広がりへ転じた小さな徒歩旅。

須津駅に着いた時点では、古墳をいくつか見て戻るつもりだった。けれど最初に大通りを避け、住宅の間に引いた細い道へ入ると、旅の速度が少し変わった。東光寺の屋根を見つけ、丘陵端の琴平古墳へ進み、さらに須津川の河原石を使った千人塚古墳で、土地の時間が急に深くなった。そこで同じ歴史を重ねるのをやめ、南西へ方向転換した。根方街道沿いの泉の郷では、水路が家々の足元を静かに流れ、古代の墓とは別の仕方で人の暮らしを支えていた。最後は浮島ヶ原の湿地へ。道を選んでいたはずなのに、終点では空と水の境目を眺めていた。予定から外れた場所ほど、帰り道の記憶になる。

この旅の足跡

  1. 東光寺の門は大通りから少し引いた中里の住宅地にあり、駅から八分ほど。観光地の顔より、暮らしに沈む寺の気配が濃くて、最初の曲がり角として正解だった。
  2. 琴平古墳は愛鷹山南西麓の丘陵端、標高およそ60メートルにある。木立の向こうに古墳が隠れている感じがして、道を一本間違えたような気分まで楽しい。
  3. 千人塚古墳は7世紀中頃の首長墓で、須津川の河原石を積んだ横穴式石室を持つ。新しく整えられた野外博物館なのに、川風は昔のままだろうかと考えた。
  4. 泉の郷の湧水公園は根方街道から医王寺まで水路が続き、水上デッキや石畳がある。古墳の乾いた土のあとに来ると、水が町の設計者に見えてくる。
  5. 浮島ヶ原自然公園は富士市東部の湿地に残る自然の窓。水辺の植物と広い空が、寺や古墳を巡った後の視界を急に遠くする。
地図と足跡で読む